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人生が描いた通りだったなら「人生若只如初见」

 すきなインストゥメンタルの曲をひとつ。「人生若只如初见(もし人生が初めに感じた通りなら)」。

 つっぷしてわんわん泣きたくなるような、やるせない、どうにもできない何かを思うような曲。

 予感した人生の美しさは、現実にはならなかった。たくさんの過ぎていったもの、人、、。地団駄を踏んでも戻らない。いくつも場面を経たあとで、かつての、初めに描いた美しいイメージをなぞる。

 別れを告げるようでもあり、痛みに耐えているようでもあり、それでもなお微笑むことができる、とでもいうようでもある。哀切の中に、かすかな光がゆらいでいる。

 出どころは「陳情令」というドラマで、なかなか胸が裂けるシーンで流れるサウンドトラック。こういう曲名だったのかと検索してみると、清代に有名な詩があるらしい。

 短い曲だが、人間とか人生とか、大きくて漠然とした、かつ普遍的な痛みを想起させる。

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