19世紀の文化 ①自然科学・哲学

山川の教科書『詳説世界史B』や帝国書院の教科書『新詳世界史B』に掲載されている「文化史のまとめ」を参考に整理しました。教科書に表にされて載っている重要事項なので、大学入試で出題されても誰も文句は言えません。直前期のチェックにとても有効です。共通テストがいくら思考力重視とはいえ、重要事項の暗記なくして社会科の学習は成り立ちません。マイナー用語は一切ありません。必ず覚えましょう。参考までに関連するセンター試験の過去問も掲載しました。



⑴自然科学

【重要ポイント 19世紀の文化 自然科学】
①科学
マイヤー(独)・ヘルムホルツ(独) エネルギー保存の法則
ファラデー(英)       電磁気学
レントゲン(独)       X線の発見
キュリー夫妻(仏)      ラジウムの発見 ☆妻のマリはポーランド出身

②生物
ダーウィン(英)     進化論 ☆『種の起源』を1859年に出版
メンデル(オーストリア) 遺伝の法則

③医学
パストゥール(仏) 狂犬病の予防接種
コッホ(独)    結核菌、コレラ菌の発見・ツベルクリンの製造

④電信・電話
モールス(米)  電信機
ベル(米)    電話
マルコーニ(伊) 無線電信

⑤発明

ジーメンス(独)     発電機・モーター
エディソン(米)     電灯・蓄音機・映画
ダイムラー(独)     ガゾリン自動車

ノーベル(スウェーデン) ダイナマイト ☆1901年ノーベル賞が創設
ライト兄弟(米)     プロペラ飛行機



⑵探検

【重要ポイント 19世紀の文化 探検】
①アフリカ内陸部の探検(19世紀後半)
リヴィングストン(英) 南アフリカ調査
スタンリー(米)    アフリカ大陸の横断に成功

②極地探検

ピアリ(米)       北極点到達(1909年)
アムンゼン(ノルウェー) 南極点到達(1911年)

③学術調査探検

ヘディン(スウェーデン) 楼蘭の遺跡の発掘
スタイン(英)      敦煌の調査



⑶哲学

【重要ポイント 19世紀の文化 哲学】
① ドイツ観念論
カント(独)  ドイツ観念論を創始    ☆『永遠平和のために』
フィヒテ(独) ベルリン大学の初代総長 ☆「ドイツ国民に告ぐ」の連続講演
ヘーゲル(独) 弁証法哲学を提唱    ☆ドイツ観念論を大成

② 唯物論
マルクス(独)史的唯物論 ☆1848年にエンゲルスと共に『共産党宣言』を発表

③ 功利主義
ベンサム(英)         「最大多数の最大幸福」
ジョン=スチュアート=ミル(英)『自由論』

④ 実証主義
コント(仏)   社会学の祖 ☆実証主義哲学を創始
スペンサー(英) 社会進化論を提唱

⑤ 実存主義
キェルケゴール(デンマーク)『死に至る病』 
ニーチェ(独)『ツァラトゥストラはかく語き』 ☆「神は死んだ」・超人思想



⑷社会科学

【重要ポイント 19世紀の文化 社会科学】
①古典派経済学
マルサス(英) 『人口論』
リカード(英) 『経済学および課税の原理』

②歴史学派経済学
リスト(独)  歴史学派経済学を確立 ☆保護関税政策を主張

③マルクス主義経済学
マルクス(独) 『資本論』 ☆第1巻は1867年に出版

④近代歴史学
ランケ(独)   近代歴史学の基礎を確立 ☆厳密な史料批判

⑸歴史法学
サヴィニー(独) 歴史法学を創始 ☆法は民族固有のものと主張



【センター試験の過去問 ⑴】
疫病や医学について述べた次の文aとbの正誤の組み合わせとして正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
a パストゥールの研究によって、細菌学が発展した。
b 14世紀の西ヨーロッパで、ペスト(黒死病)が流行した。

① a 正  b 正
② a 正  b 誤
③ a 誤  b 正
④ a 誤  b 誤
<答え>①
a 狂犬病の予防接種に成功するなど、伝染病の予防・治療に貢献し、細菌学の発展に寄与した。
b 1348年からの大流行でヨーロッパの人口は3分の1が失われ、農業人口が激減した。


【センター試験の過去問 ⑵】
19世紀以降の医学や科学上の業績について述べた文として正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
①フランスのキュリー夫妻は、X線を発見した。
②ドイツのコッホは、細菌学の研究を行った。
③オーストリアのメンデルは、相対性理論を提唱した。
④イギリスのファラデーは、エネルギー保存の法則を発見した。
<答え>②
①X線はレントゲン ③相対性理論はアインシュタイン ④エネルギー保存の法則はマイヤーとヘルムホルツ


【センター試験の過去問 ⑶】
「未知なる世界」への探検について述べた次の文章中の空欄【ア】と【イ】に入れる語の組み合わせとして正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

【ア】は、1870年代に、アフリカ大陸の内陸部を探検し、横断に成功した。20世紀に入ると、国の威信をかけた極地探検が本格化し、イギリスのスコットに先駆けて、1911年に、ノルウェーのアムンゼンが【イ】点に到達した。

① ア タスマン   イ 北極
② ア タスマン   イ 南極
③ ア スタンリー  イ 北極
④ ア スタンリー  イ 南極
<答え>④
タスマンは、17世紀オーストラリア探検をしたオランダ人
北極点に初めて到達したのは、アメリカ人ピアリ


【センター試験の過去問 ⑷】
近代ヨーロッパの歴史叙述について述べた文として誤っているものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
① ランケは、厳密な史料批判の方法によって、近代歴史学の基礎を築いた。
② サヴィニーは、一国の法制度の歴史的・民族的特色を重視する歴史法学を創始した。
③ リカードは、各国の資本主義の発展段階に応じて保護貿易が必要だとし、歴史学派経済学の先駆者となった。
④ マルクスは、史的唯物論を唱えた。
<答え>③
歴史学派経済学の先駆者はリスト


【センター試験の過去問 ⑸】
歴史史料の厳密な検討に基づく近代歴史学の研究方法を確立した人物の名として適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
ニーチェ  ②マルサス  ③ランケ  ④ベンサム
<答え>③
『ツァラトゥストラはかく語りき』 ②『人口論』 ④「最大多数の最大幸福」



19世紀後半の出来事を選ばせる切り口で、「ダーウィンの『種の起源』出版」をセンター試験が出題しました。私大では1859年という年号も問われますので気をつけましょう。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、医学のコッホパストゥールも要注意です。2018年の共通テストの試行調査では「アムンゼンの南極点到達」も出題されています。

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