古代ギリシア・ローマ文化


センター試験で出題された用語だけ「古代ギリシア・ローマ文化」のまとめを作りました。もちろん文化史ではトップクラスに重要なテーマ。わざわざセンター試験で、理系・文系を問わず、世界史を選択したすべての高校生に合否を左右する形で大学側が何度も出題してきた用語です。大学で人文科学・社会科学を学ぶとき、最低限、知らなくてはならない大切な知識がここにあります。ホメロスの叙事詩ソフォクレスの悲劇アリストテレスの著作は、どの時代の文学や社会科学の本を読んでも影響を受けていることに驚かされるはずです。

世界史選択の高校生は、ここに整理された用語をまず覚えましょう意識の高い社会人の方も、古代ギリシア・ローマ文化現代社会の教養の源。重要な古典を把握する手がかりになるはずです。ソフォクレスの『オイディプス王』、プラトンの『ソクラテスの弁明』、マルクス=アウレリウス=アントニヌスの『自省録』は心からオススメできる古典です。岩波文庫でぜひお読みください。



⑴古代ギリシア文化

【重要ポイント 古代ギリシア文化】
①文学
ホメロス     『イリアス』『オデュッセイア』 ☆ギリシア最古の叙事詩

ヘシオドス    『神統記』『労働と日々』
サッフォー    女性叙情詩人

アイスキュロス  悲劇『アガメムノン』
ソフォクレス   悲劇『オイディプス王』
エウリピデス   悲劇『メディア』
アイスキュロス・ソフォクレス・エウリピデスは三大悲劇詩人

アリストファネス 喜劇『女の平和』→ペロポネソス戦争を批判


②自然哲学
タレス      万物の根源は水 ☆イオニア学派の祖
ピタゴラス    万物の根源は数 ☆ピタゴラスの定理
ヘラクレイトス  万物の根源は火 ☆「万物は流転する」と説く
デモクリトス   万物の根源は原子 ☆原子論

ヒッポクラテス  西洋医学の祖

③哲学
プロタゴラス  ソフィスト。普遍的真理を否定 ☆「万物の尺度は人間」

ソクラテス   真理の絶対性を説く。 ☆「無知の知」「悪法も法なり」

プラトン    イデア論。アカデメイアを設立。『国家』 ☆ソクラテスの弟子
アリストテレス 万学の祖。『政治学』 ☆アレクサンドロスの師

④彫刻美術

フェイディアス パルテノン神殿のアテナ女神像

⑤歴史

ヘロドトス   『歴史』→ペルシア戦争史を物語的に記述
トゥキディデス 『歴史』→ペロポネソス戦争史を批判的に記述
<古代ギリシア哲学の古典>
プラトンの著作→『ソクラテスの弁明』『国家』『饗宴』
アリストテレスの著作→『ニコマコス倫理学』『政治学』『詩学』



⑵ヘレニズム文化

【重要ポイント ヘレニズム文化】
ヘレニズム時代アレクサンドロスの東方遠征からプトレマイオス朝の滅亡まで
<特色> 個人主義とコスモポリタニズム(世界市民主義)の風潮がおこる

①哲学
ゼノン    禁欲主義。ストア派の祖
エピクロス  快楽主義。エピクロス派の祖

②自然科学
<中心>
 アレクサンドリアのムセイオン(王立研究所)
エラトステネス  地球の周囲の長さを計測
アリスタルコス  太陽中心説 ☆地球の公転と自転を主張
エウクレイデス  平面幾何学を大成 ☆ユークリッド幾何学
アルキメデス   浮体の原理を発見 ☆ポエニ戦争でローマ兵により殺害

③彫刻美術
「ミロのヴィーナス」
「ラオコーン」



⑶古代ローマ文化

【重要ポイント 古代ローマ文化】
①文学
ウェルギリウス 『アエネイス』(ローマ建国叙事詩)
ホラティウス  『叙情詩集』
キケロ     『国家論』
 ☆散文家・政治家・雄弁家

②歴史・地理
リウィウス  『ローマ建国史』
ポリビオス  『歴史』→政体循環史観 ☆ギリシア人の歴史家
カエサル   『ガリア戦記』(ラテン語散文の名文)
タキトゥス  『年代記』『ゲルマニア』
プルタルコス 『対比列伝』(ギリシアとローマの政治家を対比)

ストラボン  『地理誌』

③哲学・思想
セネカ                ストア派。『幸福論』 ☆ネロの師
マルクス=アウレリウス=アントニヌス ストア派。『自省録』☆「哲人皇帝」

④自然科学
プリニウス   『博物誌』(自然科学の集大成)
プトレマイオス 天動説を説く。『天文学大全』

⑤キリスト教思想
エウセビオス   教父。『教会史』
アウグスティヌス 最大の教父。『告白録』→マニ教からの改宗。『神の国』


⑥法学
トリボニアヌス 『ローマ法大全』を編纂 ☆6世紀、ユスティニアヌス帝の命


【センター試験の過去問】
ストア哲学の思想を示している作品について述べた文として正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

『労働と日々』ウェルギリウスによって著された。
『ローマ建国史』が、キケロによって著された。
『自省録』が、マルクス=アウレリウス=アントニヌスによって著された。
『告白録』が、ディオクレティアヌス帝によって著された。
<解答>③
①はヘシオドス。②はリウィウス。④はアウグスティヌス


【センター試験の正誤問題】
アイスキュロス・フェイディアス・エウリピデスは、三大悲劇詩人と呼ばれる。

ヘシオドスが、政治を風刺する喜劇を作った。

ソクラテスは、「人間は万物の尺度」と主張した。

ヘシオドスが、ペルシア戦争について叙述した。

アリスタルコスは、天動説を唱えた。

リウィウスが、『ローマ建国史』を著した。

タキトゥスが、『対比列伝』を著した。

キケロが、『ガリア戦記』を著した。

プトレマイオスが、地動説を唱えた。

ユスティニアヌス『ローマ法大全』は、5世紀に編纂された。


<解答>
①誤 フェイディアス→ソフォクレス  ②誤 ヘシオドス→アリストファネス  ③誤 ソクラテス→プロタゴラス  ④誤 ヘシオドス→ヘロドトス  ⑤誤 天動説→太陽中心説(地動説) ⑥正  ⑦誤 タキトゥス→プルタルコス  ⑧誤 キケロ→カエサル  ⑨誤 地動説→天動説  ⑩誤 5世紀→6世紀


受験生のみなさん、いまの努力は、そのままあなたの視野を広げます。
とても有意義な時間です。
最後まで、あきらめずに頑張れますように!



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