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行動の原理ーレスポンデント条件づけ2-

前回はパブロフの犬を題材にレスポンデント条件づけがどう行われるかを見てきました。今回は、人も同じようにレスポンデント条件づけがおこなわれるということを、「恐怖」の条件づけから考えていきましょう。

J・B・Watsonはこの「恐怖」という情動をレスポンデント条件づけで起こすことができるかを実験しました。そう、あの有名な「アルバート坊や」の研究です。Watsonは行動主義を提唱したことでも有名ですよね。「私に12人の子どもを預けてくれれば、弁護士、政治家、犯罪者、どのような人でもお好みに応じて育ててみせる」(引用:同志社大学赤ちゃん学研究センターHP)も有名なセリフです。

さて、この「アルバート坊や」の実験の手続きとその後を見ていきましょう。まずWatsonはアルバート坊やがネズミに対して、特段大きな反応を示さないこと、つまり中性刺激(NS)であることを確認しました。そして、このネズミを条件刺激(CS)に、それと共に対提示される無条件刺激(US)を鉄の棒を叩く大きな音として、それに伴い現れる無条件反応(UR)、恐怖反応を引き出しました。ちなみに条件刺激と無条件刺激を対提示することをレスポンデント強化といいます。

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その後、無条件刺激(US)である大きな音を対提示することがなくなっても、条件刺激(CS)であるネズミを見ると恐怖反応を示すようになりました。

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さらに驚くべきことに、アルバート坊やはレスポンデント強化が行われていないにも関わらず、ウサギや髭のついたお面、毛皮などにも恐怖反応を示すようになったのです。これを、刺激般化と呼びます。アルバート坊やは今まで全く怖くなく、特に何をしたわけではないのに、ウサギやお面、毛皮まで怖いと思うようになってしまったのです。

人が怖いと思ったり、不安に思ったりする中には、こうして本人も気づかないうちに、条件づけられたり、刺激般化されたりして恐怖の対象となっているものがあるのです。そして、行動療法ではこうして結びついた恐怖反応をエクスポージャと呼ばれる方法などを用いて恐怖反応をなくしていくのです。

参考文献
三田村仰(2017)はじめてまなぶ行動療法 金剛出版

自分にできることが何かを模索しながら、とりあえずできること、発信できることから始めようと思います。少しでもリアクション頂ければ励みになりますので、よろしくお願いいたします。