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トークンエコノミー法

前回は行動の強化の話をしました。
繰り返し起こる行動は、それをした後の結果によって繰り返し起こるのか、なくなっていくのかが決まります。繰り返し起こるためには、行動した後に「良い結果」が必要です。しかも、その「良い結果」は行動してから、できるだけすぐに起こらなければなりません。また、この「良い結果」には2つの種類がありました。その人にとって好きなことが出てくる時と、嫌いなことがなくなる時です。このどちらかが行動のすぐ後に起こることによって、その行動が起こる確率が増えていきます。この行動が増える仕組みを強化と呼びます。
しかし、増やしたい、やってもらいたい全ての行動に対してすぐに強化することは不可能です。そこで考えられた一つの方法がトークンエコノミー法と呼ばれています。今回はそのトークンエコノミー法について書いていきたいと思います。

トークンエコノミー法というとあまり聞いたことがないかもしれませんが、実はこの手法は身近なところで多く使われています。どこで使われているかというと、スーパーやお店などのポイントカードです。ポイントカードはこのトークンエコノミー法の原理を用いて購買意欲を高め、何度もお店に来てもらえるように導入されているのです。
このポイントカードは、ポイントを貯める、スタンプを押してもらう、だけで嬉しくなる人は少ないと思います。いえ、もちろんポイントを貯めたりスタンプを押してもらうのは嬉しいことだと思いますが、なぜ嬉しいかというとその先にさらに嬉しくなることが起こるからではないでしょうか。例えば、スタンプを10個貯めればそのお店で500円割引で何かが買えたり、一つ商品をもらえたりしますよね。ポイントやスタンプを貯めて嬉しいのは、貯め終わった後に嬉しいことが待っているのを知っているからなのです。

それではこのポイントカード、トークンエコノミー法はどのような原理で行動を増やそうとしているのでしょうか。基本的な原理は、行動の強化の原理と同じになります。行動をしたら(例えば商品を購入する)、すぐにポイントやスタンプをもらえる、良いことが起きます。良いことが起こるから、またその行動(商品を購入する)を繰り返ししようとするのです。ここでトークンエコノミー法の最大のポイントは、トークン、ポイントやスタンプを使っているというところです。トークン自体に意味はありません。それだけ貰っても嬉しくありません。しかし、そのトークンがいくつか貯まることで、何かと交換できるようになっています。これをバックアップ強化子と呼びますが、いくつか貯めることで本当の良いことが起きるような仕組みにしているのです。そのため、行動を起こしてすぐには良いことを起こせなくても、あらかじめ5ポイントで100円引きなどのルールを作っておくことで、トークン自体にも意味ができて行動が起こりやすくなるのです。

しかし、トークン自体に意味はないので、このルールがあまりにも無謀すぎると行動は増えません。例えば1回10000円の買い物で1ポイント、1000ポイント貯まると100円引きのポイントカードがあったとします。このポイントカードがあったとして、あなたなら買い物したいと思うでしょうか。
わたしの子供達も一週間で7つのスタンプを貯めるとケーキが買える、というものに魅力は感じなかったようです。(参考:習慣にするって難しい
このようにあまりにもメリットが感じられないものだと意味がありません。

また、このトークンエコノミー法は学校現場や福祉の現場でもよく活用されています。その時によく考えてほしいのは、スタンプやシールを貯めるだけではなく、そのあと何か良いことを設定しているか、あまりにも無茶な設定になっていないか確認してみてください。また、校則を破るなどいけないことをしたからと言ってトークンを減らすのもやめておきましょう。トークンを減らす手法もありますが、まずは良いことで行動を増やしていくほうが大切です。

今回はトークンエコノミー法について考えてみました。子供達と取り組んだ方法には失敗してしまいましたが、日常生活の中でも活用できる方法です。自分自身のやりたいことや、子供やパートナーにやってもらいたいことに利用してみてもいいかもしれませんね。

自分にできることが何かを模索しながら、とりあえずできること、発信できることから始めようと思います。少しでもリアクション頂ければ励みになりますので、よろしくお願いいたします。