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おうまのおうち

「・・・がたいへんだー」
「・・・のおうちがたいへんだー」
「おうまのおうちがたいへんだー」

まだ日が昇って間もない時間、寝ぼけた耳に聞こえたのは娘が歌う子の歌だった。いったい何の歌だろう。まだ眠気から意識もはっきりしていない中、一体何がたいへんなんだろうか、と考えていた。

「おうまのおうちがたいへんだー」
「パパ、おうまのおうちがたいへんだー」

より大きくなっていく声。これはきっと、わたしに起きてと言っているのだろうな。どんどん意識がはっきりしていく中で、わたしに向けた声がはっきりと聞こえてきた。

「・・・なにがたいへんなの?」
「おうまのおうちがたいへんだー!」
「おうまのおうち?」
「うん!おうまのおうちがたいへんだー!!」

ゆっくりとまぶたを開け、身体を起こす。娘がニコニコと微笑みながらわたしのことを待っていた。

「おうまのおうちがたいへんだー」
「おうまのおうちがたいへんだー」

そう言いながら隣の部屋に駆けていく娘。まだ眠気が残っている体をゆっくりと動かしながら追いかける。
そこにあったのは、紙に書いた「おうま」のカードと、その上に積み上げられていた積み木たちだった。どうやら、カードの上に積み木を慎重に重ねていって、倒れないようにするゲームを楽しんでいたらしい。

「おうまのおうちがたいへんだー」
「おうまのおうちがたいへんだー」

朝食まで、まだ時間はある。娘と一緒におうまのおうちを一生懸命積み上げていった。

自分にできることが何かを模索しながら、とりあえずできること、発信できることから始めようと思います。少しでもリアクション頂ければ励みになりますので、よろしくお願いいたします。