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バツイチになりかけた話

田舎移住し、古民家キャンプ場を運営する主婦のnataです。
夫とは結婚して14年になります。肩書きが「主婦」になって14年目・・・
今回はそんな私のバツイチになりかけたお話です。
と言っても、夫の前に婚姻にまで至った男性がいたわけではなく、
ただ、夫と結婚をしようとしただけでバツイチになりかけてしまったという
お話。
そもそもなぜ夫と結婚することになったのか・・・

「付き合いで結婚式場の見学に行き、結婚式を衝動買いした」

20代の私は、営業マン。
とても大事な取引先の娘さんがウエディングプランナーをやっていて、休日のウエディングイベントに誘われ断れずに参加し・・・その日に結婚式を申し込みしてました。(最終的には日程が合わず、別の場所で挙式したが)
結婚式の衝動買いです。
人生の選択を衝動買いし、両家の親や親族を巻き込んで大々的に結婚式を挙げてしまいました。
派手な結婚式を終え、大きな達成感と共に、夫との生活が始まったのだが、実はしばらく入籍をしていなかったのです。

え?入籍まだなの?


免許からカードに至るまで全ての書き換えを考えると面倒で先延ばしにしていましたが、いつまでも旧姓のままの私にしびれを切らした両親やまわりから早く行ってこいと急かされ、最低でも年内には行けと言われました。
12月の忙しい時でしたが、2人で夜間窓口に行き、婚姻届を記入し、提出することになりました。
夜間窓口のおじさんはとてもアットホームな方で、
私たちを祝福し、記念撮影までしてくれました。
明日の朝には受領されているから、新しい住民票を取って早めに免許証等、証明書の書き換えをするようにアドバイスもくれました。
夫の戸籍に入り、私は結婚式よりも、自分が結婚したという実感がわいてきました。夫とはその日に2人でお祝いをし、2人の新しい門出を祝福しました。とてもいい夜でした。

戸籍が見つからない

翌日、夫は仕事へ、私は朝から夫の名前になった新しい住民票を入手するため、市役所へ行きました。
戸籍課へ行き、用紙を受け取り、私は初々しい気持ちで書き慣れない夫の苗字になった自分の名前を記入し戸籍課の窓口へ住民票の交付を申請しました。
右手の薬指には新しい結婚指輪が光っています。
受付番号を渡され、番号掲示板の前に座って待ちました。
ついに私は、慣れ親しんだ苗字とお別れし、今日から新しい苗字を名乗るのです。多幸感に溢れた新妻の私はワクワクしながら新しい自分の戸籍を待っていました。しばらくし、番号を呼ばれ、受付まで行くと、
受付の女性から
「戸籍が見つかりません」 と伝えられました。

もし、あなたが市役所に行き、窓口で住民票の交付をしようとした時に、
受付女性に「戸籍が見つかりません」と言われたらどうですか?
私はビックリして頭が真っ白になりました。

「え!?」という文字が脳内に張り付いて目が点になり
3度聞きしたくなる衝動にかられたましたが、
私は社会人として平然を装いながら、あり得そうな理由を自分なりに脳内で考え、冷静に尋ねました。
「昨日夜間窓口で婚姻届を出したのですが、まだ受領されていないのでしょうか?」
受付女性が慎重に私の旧姓を訪ねたりなどのやり取りの後、
「ご主人が奥様の戸籍に入ってますが・・・」
と言いにくそうに言ったのです。

そんな事ある!?

しかし、私には何となく覚えがありました。
そのような項目に確かに私は、チェックを入れたような気がしたのです。
私は軽い気持ちで
「あ、それ間違いです!主人の戸籍に私が入っているはずなんですけど・・」
と笑顔で伝えたところ、瞬時に受付女性の表情が「やばいやつ引いちゃった!」というようなひきつった表情に変わり、
「しょ、、少々お待ち下さい!」と番号も渡さず、そのままデスクの奥にいる上司と思われる男性の元へ走り去って行きました。

上司と思われる男性は立ち上がり、こちらを見てはいけないものを見る目つきでチラチラと見ながら受付女性の持ってる書類などを確認し、さらに別の男性にまで声をかけ始めました。
数人がワラワラと集まってきて書類と遠くにいる私をチラチラ見ながら慎重な面持ちで何やら話し合っています。市役所デスク内のざわつきが半端ないです。

「え?何?私、なんかやっちゃった系?」


脳内はパニック状態。
窮地に追いやられた草食動物のように私の目は焦点を失いました。
全身から変な汗が出てきます。
私はこれから一体どうなるのだろうか・・・
その時、窓口カウンターの隣にいた外国人女性がすごく心配そうに私を見ていました。彼女は1〜2歳の小さな子供を抱えていたがその子供も私を心配そうに見ています。
何かしらのトラブルを抱え、小さい子を抱えながら、異国の地の戸籍課に来ているであろう外国人女性にまで心配される「戸籍課で今、最も問題を抱えている女性(私)」
もちろん、こんなマヌケな理由で騒がれてるとは思いもよらないでしょう。
自分のマヌケをこんなにも申し訳ないと思ったことはありません。
それでも私はまだ状況を軽く考えていました。
記入を間違えただけなのだからどうにかなるだろう。
ダメならその時に考えよう。
私は平然を取り戻し、状況を受け入れ、堂々と待つことにしました。
私は焦点を自分の現状に戻しました。

戸籍は簡単には変えられない

戻ってきた女性が慎重な面持ちで私の置かれている状況、
私にある選択肢とこれからすべき手順について話し始めました。
まず、戸籍は簡単には変えられないのです。
私の選択肢
①、このまま夫を私の戸籍に入れたままにする
②、夫の戸籍へ私を入れ直す。これには夫の同意が必要
③、戸籍が受領されている場合、私の戸籍から夫を出して
新たに夫の戸籍に私を入れなければならないうえに、すぐに入れるかもわからない(最悪のパターン)


つまり私達は1日でバツイチになるのです
またしても私の目は焦点を失いました。
「現時点では何とも言えないが、受領が本日付けなので
急いだら、もしかしたら変更できるかもしれない(バツイチにならないですむ)」
どちらにしても夫の同意が必要です。

一連のやりとりを夫に伝えなければならない

私はその場で携帯を取り出し、受付女性の前で仕事中の夫へ連絡しました。
その瞬間まで私はそこまで深く考えていなかったのかもしれません。
ダメならダメで私の姓を名乗ればいいではないか。
夫が電話に出て、私は受付の女性に言われたことをそのまま夫に伝えました
が、あまりの出来事に夫が状況を理解できず、何度も聞き返されました。
正確に伝わるまで、私は何度も何度も戸籍課で夫に状況を説明しました。
市役所中にいる、誰もが私たち夫婦の置かれている状況が理解できた頃、
夫がようやく冷静になり、理解してくれました。
「そんなことある!?」

私だって、自分がこんな目に合うまで、そんなトラップが
婚姻届に隠されているとは知りませんでした。
しかし、夫が爆笑してくれたので、私もやっと笑うことができ、
受付の女性も堪えていた笑いをやっと吹き出すことができました。
そこまではよかったのですが、夫が笑いながら
「じゃ、早く戻してもらってね」と軽く言い放ちました。
「え?私の名前じゃダメなの?」
「ダメでしょ。絶対」


私の姓に夫がなる選択肢は消えました。
夫には長男というこだわりがあるのです。
受付の女性に電話を変わり、夫がその旨を伝えていました。
(証明書などを持っていたり委任状を提出したかもしれない)
早急に変更の手続きをすることになりました。
またしても市役所デスク内がざわつき始めます。
こんな理由でバツイチになった場合、私は家族に何と伝えたらいいのだろう・・・もう私は目の焦点が合っていなかったので、
その辺りの記憶はかなり曖昧なのですが、
結論を言うと・・・

バツイチにならないで済んだ

間に合ったのです。
これが夕方の交付や翌日の交付だったら間に合ってなかったと
最後の最後に受付の女性が笑顔になって言いました。
私も心底、ホッとしました。
夫にもバツイチにならなくてよかったねと話しました。
その話を家族や親族にしたら両家とも激怒していました。
私はしばらく目の焦点が合わないままやり過ごしました。

しばらくの間、夫や家族は私の失態を攻めていましたが、
時間が全てを解決しました。
戸籍上は何も問題がなかったのだからいいではないか。
誰もがその事を忘れ去った頃、
夫の戸籍が移動したことにより、夫の印鑑証明が無効になったと言う通知文書が市役所から届きました。
そのまま私はその文書をそっとゴミ箱へ捨てて何事もなかったように過ごしました。
私の目はまた焦点を失いました。


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