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カルティエのデザイナーから、自身のブランドで成功したブーシェ

20世紀最初のコスチュームジュエリーメーカーとして知られている、
マルセル•ブーシェはフランスのジュエリーデザイナー。

1898年パリで生まれ、カルティエのデザイナーになる。
カルティエでの経験や技術が、
後に立ち上げる彼自身のブランドのクオリティの高さの基盤となったと言われています。

1922年、その類い稀なる才能を買われ、彼はニューヨークのカルティエに転勤となり移住。
その後カルティエを去り、1937年には自身のブランドを設立する。

1939年頃から、当時主流だったアールデコスタイルとはまた違った彼自身のデザインを確立し、一気にブレイク。
ダイヤ等を使ったハイジュエリーを除くコスチュームジュエリーの世界では、
そのデザイン、技術共にトップと言われるようになる。

当時のフランス人デザイナーに多い、洗練と上品さを兼ね備えたデザイン。
存在感がありながらも、その個性は身につける方と共存する。
ブーシェのジュエリーには、他のデザイナーにはない強い個性があるのです。

ブーシェはカルティエで学んだハイジュエリーらしいジュエリーと、
生き物や植物等をモチーフにした美しく、愛らしいジュエリーシリーズを得意としていました。
どちらのシリーズにも評価が高く、ジュエリー本に掲載されている名品がそれぞれあります。

1840年、イギリスのヴィクトリア女王が生涯愛したアルバート公との
婚約指輪に選んだのは、ヘビのリングでした。
ヨーロッパでは強い影響力があったと言われるヴィクトリア女王のファッション。
女王がヘビのジュエリーを選んだことで、人気のジュエリーとなりました。

それから1世紀が過ぎて、才能あるジュエリーデザイナーによって、
こうしてヘビのジュエリーが制作されていることは、とても興味深いです。
そして、クラシカルなジュエリーモチーフとなったヘビを、ブーシェの解釈で、
モダンに、美しく仕上げらえています。

ゴールドカラーと、光沢のあるホワイトカラーのボディが何ともクールで、
対照的に表情は可愛らしいです。
造形は言うまでもなく、最高に美しいです。

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また、ブーシェの代表的な作品の一つであるパンジーのジュエリー。
ハイジュエリー出身であるブーシェの作品世界を随所に感じます。

私がブーシェの作品を好きな理由は、愛らしいモチーフのジュエリーでも、
可愛過ぎず、チープさが一切なく、圧倒的に品があり、
ジュエリーへの敬意をデザインから感じるからです。
また、圧倒的な美しさがあります。

とてもシンプルですが、ここまでの条件を揃えるヴィンテージジュエリーデザイナーは多くありません。

ブーシェがアメリカで自身のブランドを立ち上げた時代は、
世界的に一番好景気だったのがアメリカでした。
ジュエリーの需要も、ビジネスチャンスもアメリカにあったのです。
アメリカ人だけでなく、
ヨーロッパの実力あるデザイナーたちがアメリカで勝負し、
ブーシェのような素晴らしいブランドが生まれたのは、
ヴィンテージジュエリー界の宝です。

アンティーク&ヴィンテージジュエリー:メルティングポット 
http://meltingpot-shop.com

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