映画:バタフライ・エフェクト

あらゆる物事は理由があって起こる。

この世界に起きる出来事は全て理由があって、日常生活で起きてくる物事一つ一つにも、全てちゃんとした理由がある。


劇中、エヴァンはなぜ包丁を持って立っていたのか?
→ダイナマイトを破壊するための道具を探していたから。
事情を知ったところで事実は何も変わりません。刃物を持った、ただ危険な男の子です。
でも、包丁を持つ意味が彼にはあった。理解不能な異常性にも理由があるとして、ストーリーが広がっていました。


この映画でエヴァンがしていたのは神の仕業のようなこと。世界の法則を変え、周囲の人格を変えてしまう。

自分たちに苦しいことや悲しいことが起きた時、「いったい何の理由でこんなことに…」「どうして自分だけにこんなつらいことが…」と言い、自分の環境を呪ったり、神を呪ったりする人がいます。

…エドガー・ケイシーは続けます。そのような出来事が起きた場合でも、 全てに必ず理由があり、意味もなく偶然に起きる出来事なんて存在しないのです。
なぜならこの世界は完全なる神が作り出したものであり、神の法則が張り巡らされているからです。
マクロからミクロまで全て法則どおりに動いており、神の完璧な技により出来事が起こるようになっているのです。

エヴァンが刑務所に居た時、同じ部屋にいた男カルロスは信仰深いキリシタンでしたが、聖痕を見てからの彼は、神に突き動かされる人間でした。どこまでが神の御技かはわかりませんが、あの時はエヴァンが神でした。


ケイリー(ヒロイン)の兄、トミーはエヴァンに言います。「お前は恵まれてるな。そのうえ俺から奪うのか、俺を見下さない唯一人の人間を」
トミーは苦しみのなか藻掻きますが、家庭環境とトラウマから解放されないまま彼の人生は終わってしまいます…。

エヴァンが過去にタイムスリップし、自分もしくは誰かの言動ひとつを変えることにより、様々なパラレルワールドが展開されます。ざっくりと、6回以上は世界が変化するのですが…
その中の後半二回では、トミーは大学に通い、好青年に育っているので、重い気持ちのままは終わりません。
両手を失い、浴槽で自殺をしようとするエヴァンに掛けたセリフも好きです。


各シーンがプツプツ切れながら物語が進むので、映画の技術的な高さも感じました。

最後の言葉はとても印象的です。

「自分が誰だか 思い出す必要ないだろ」


過去をどんなに変えても納得できる人生は歩めない。


結果を求めるという事は、単純に不安が理由である。その不安であるケイリーごとエヴァンは取り除いた。
彼はこれまでの苦悩とは無縁の平穏な生活を送るようになり、多分ハッピーエンド。

「この子は死ぬしかない」なんて、父親にいきなり言われたら、やっぱ頭がおかしいお父さんだったんだ、、でしかありませんでしたけど、物語を追ってるうちにその発言の理由もわかりました。
しかし、全体としてみるなら、彼は「鎮静剤を打ち込まれてからなら息子と面会を許される人間」です。

物事を一つの点で見ると、人って気が狂う。同じ過去を繰り返さないぞという強迫観念に駆られていると人生も狂う。正常を保てません…。無理に、そして無駄に、過去を思い出す必要は無いことをまざまざと感じました。


「二度と君を失いたくない」
「どうしたの?ずっと一緒じゃない」

ずっと一緒なのかもしれないし、そもそも、個体と個体がずっと一緒だなんて無理な話なのかもしれない。愛の話は、始めるとキリがない止まらない。