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飲食店の人件費

新型コロナウイルスの影響で飲食店は売上に大きな影響があると思います。これを機会に店舗運営の最重要問題でもある人件費について今一度整理したいと思います。
この記事は飲食店経営における適正な人件費を解説します。


適正な人件費

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飲食店経営において人件費をコントロールすることが一番利益を出しやすい方法だと思います。
通常業務に追われ、人件費を見直す機会を見失っているかもしれません。この機会に店舗の人件費について見直し、必要であれば削減も実施しましょう。
結論から言うと、適正な人件費は売上の20%~25%程度と言えます。
もちろん、この数字より少なければ利益率は高くなります。
家賃のように毎月一定金額掛かる費用を「固定費」、材料費や人件費など、毎月変動がある費用を「変動費」と呼びます。

「変動費」は管理がとても難しいです。

しかし、食材の調達方法や人件費を上手にコントロールすることによって、利益を更に生み出すことが可能です。
食材原価と人件費を合わせた「FLコスト」は売上に対して50%程度が優良店舗と言えます。

FLコストの詳細はこちらの記事を参照ください。

【飲食店の経営指標】FLコストを制する者は飲食店を制する!!
目次 FLコストが重要な理由 FLコストとはなんぞや!? 「”F”ood」(原材料) 「”L”abor」(労働者) 「”R”ent」(賃貸) FL比率の目安 FLコストのまとめ FLコストが重要な理由 ...


飲食店の求人

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毎年10月に全国の最低賃金が発表されます。
2019年の10月には東京都と神奈川県が1,000円の大台を突破、大阪も964円になりました。
飲食業界は時給が安く、雇用するのが難しいのが現状。
時給を上げて、採用活動すると人は集まるかもしれないが人件費が圧迫、利益を削ることになる。

そのため、外国人労働者を採用する店舗もあり、クレーム防止や顧客満足度を下げないためにもマニュアルは必須。

また、スタッフを採用すると有料求人情報誌などを活用すると1人獲得するのに約5万円のコストがかかると言われている。

コストを出来るだけかけずに店舗にポスターを掲示したり、スタッフの友人を紹介してもらったりしても即効性がないのでどうしても時間がかかる。

苦労して、お金を掛けて採用しても短期間で辞めてしまうケースも少なくない。
またシフトを埋めるため、多数のスタッフを採用しなければならない店舗は大変だ。


3つの適正な人件費の基準値

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人件費を適正に管理する基準があるので是非参考にして欲しい。

【人時売上】
スタッフの労働時間1時間ごとの売上高を表した金額。
「売上高÷スタッフの労働時間」で計算することができる。

例)1日の売上目標が10万円で、8時間勤務するスタッフが3名。
売上高10万円÷スタッフの労働時間24h=4,166円となる。
基準値は4,000円~5,000円程度。
一応ギリギリ基準値だが見直してもいいかもしれません。

【労働分配率】
粗利高に占める人件費の割合のこと。
「人件費÷粗利高×100」で算出することができる。

例)月間売上高300万円、食材原価率が30%で月間90万円の場合。
粗利高は300万円-90万円=210万円となる。
人件費が月間100万円であれば、人件費100万円÷粗利高210万円=労働分配率47%。
労働分配率の基準値は40%以下。
47%は基準値を超えているので、基準値の40%以内にするには人件費を月間84万円以下にする必要がある。

【労働生産性】
スタッフ1人あたりの生産性を示す数値。
「粗利高÷換算人員」で算出する。

例)週40時間勤務のスタッフが2名(総勤務時間80時間)
週20時間勤務のスタッフが3名(総勤務時間60時間)
週40時間勤務をベースにすると、全員の総勤務時間140時間÷40時間=換算人員は3.5名となる。

粗利高が210万円なら210万円÷3.5名=労働生産性は60万円となる。
労働生産性の基準値は50万円~60万円なので基準値内となる。
人件費を上手にコントロールし、しっかり利益を出そう


上記の計算で状況が把握できたら、次は目標値を設定し改善をしましょう。もし、人件費が高くなっているのであればアイドルタイムを極力なくしましょう。

アイドルタイムとは
“売上が稼働せず、労働力が空費されている時間”のこと

店舗の工夫により1人削減できたら、月にしたら数十万円浮くことになる。人件費は非常に複雑で管理が大変難しい。
現状、売上が取りにくい社会情勢の場合、まずは人件費を見直すことをおすすめします。
感覚だけでなく、具体的な数字に落とし込むことにより、人件費がより明確になる。
改善できればそのまま利益が生まれる。
店舗にあったスタッフ配置で適正な人件費を算出しましょう。

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