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しゃは社畜の「しゃ」

3
ほぼフィクションです。
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しゃは社畜の「しゃ」 3

部長
 「お世話になります。
  えっ、今進行中の製品を仕様変更ですか?
  成型色を現行の2色から6色にして、3パターンの組み合わせ。
  スピーカーの音量も80dbまで上げる。はい。
  シールを2箇所から3箇所に増やす、ですね。
  仕様書は後ほどお送りいただけると。
  ええ、もちろん大丈夫です。それで進めさせていただきます。
  はい、はい。ありがとうございます。それではまた。

  (

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しゃは社畜の「しゃ」 2

手に持ったサンプルを振り振り、部長がスキップしながらめろんのデスクの横にやってきた。
「めろんくん、この商品の貼り付け用シールを作ってくれるかなー?」
「はい。何を載せるんですか?」
「まぁ、何でもいいよ。適当で!」
「適当で原稿は作れません」めろんは怪訝そうな顔で眉根を寄せた。「記載事項を箇条書きにしてください」
「えー。めんどくs」
『きっ』と音がするほどの眼光で、部長をにらみ付けるめろん。

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しゃは社畜の「しゃ」

「あー、めろんくん」
「なんですか部長」
めろんはキーボードをタイプしながら、振り向かずに応えた。
「ちょっと、わたしのパソコンがおかしいんだが」
「おかしいって、どうおかしいんですか?」
「んー」腕を組み、唸る部長。「喩えて言うなら、見積もりを送っても一向に返事をくれないA社のような」
「それじゃ分かりません」脇目も振らずにタイプを続けるめろん。
「単純かつ明快に症状を伝えてください」
「売上の

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