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エピジェネティクス 思いが全てを決める仕組み

 人間の身体は60兆個の細胞から成り、個々の細胞には
2万個の遺伝子が 人それぞれ固有の配列で整然と並んでいます。

    同じ遺伝子の並び順を持つ細胞が肝臓にあれば肝臓の、
皮膚にあれば皮膚の性質を持つようになるのは22,000個の
遺伝子のうち、どの遺伝子のスイッチをオンにして、
どの遺伝子のスイッチをオフにするかが制御されているからです。                           このスイッチのオン・オフ制御のことを
エピジェネティクス」といいます。

   スイッチが入ったり入らなかったりは、その生物の環境に
影響されるということを1942年にイギリスの生物学者
コンラッド・H・ウォディングトン教授が提唱しています。

  その後いくつもの実証実験が行われました。
アメリカのジーン・ロビンソン教授は気性が穏やかな
「イタリアミツバチ」とキラービーと呼ばれる強暴で
人を刺す危険な「アフリカナイズドミツバチ」を幼虫の時に
数匹取り出してそれぞれのグループの中に入れ替えて、
育ちによってどれだけ性格が変わるか実験しました。
すると見事にそのグループの環境に影響されて、
「強暴なイタリアミツバチ」と
「平和的なアフリカナイズドミツバチ」になりました。

このように生来の遺伝子の性質よりも環境の影響を
強く受けることがわかりました。

 オーストラリアのアデレード大学・ロビンソン研究所の
トッド・フルストン博士がマウスを使って肥満の遺伝の
可能性を調べました。
20匹の雄のマウスを10匹づつ分けて10週間、高脂肪食を
与えるグループと普通食のグループとを観察してみました。
結果は、高脂肪グループの体脂肪が、普通食グループに
対して21%増えました。
そこで、高脂肪マウスと普通マウスを交配させ観察し、
更に孫世代で肥満率がどれだけ出るか見てみると
なんと67%も肥満率が高まっていました。

2代にわたって肥満が伝達されるという結果になりました。

 アメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の
スティーヴ・コール博士はヒトの深層にある思いが、
免疫細胞に影響して病気を起こす可能性を報告しています。

社交的な人のグループと孤立感の強い性格の人の
グループに分けて、白血球の遺伝子を解析してみると
大きな違いがあることが判りました。
孤立感が強いグループは炎症に係る遺伝子が強く発現し、
抗体や抗ウイルス反応に係る遺伝子は発現が弱いという
傾向がありました。

ただ人間の場合は孤立感といっても、単純に社会的に
孤立しているということではなく、例えに
ぎやかな環境に居ても孤独を感じるという主観的な
感情が体に影響するものです。

ヒトの細胞は刻々と生まれ、刻々と滅んで、その間遺伝子情報は
書き写されて行きます。
その転写の過程でその時の環境や心持ちによって
遺伝子のスイッチがオン・オフされてゆくとなれば、
日常の心理状態が健康にとって頗る大事なことが判ります。

心の持ち方・ストレスの状態の他に、老化、慢性炎症、
ウイルス感染、化学物質、喫煙なども誘因となり
エピジェネティクス・オンオフ誤動作が
起こるとされています。

 以上のような遺伝子の働きを知った上で
丈夫な身体を作るためには、やはり何をどのように
食べることが重要のようです。
日々の食事は、筋肉や皮膚などの組織をつくるのはもちろんのこと、   精神の安定やストレスへの対応にも密接に関わっています。
ストレスが原因で病気になった人の食生活は、
偏食や不規則な食事、欠食、小食といった傾向があります。
当たり前の事のようですが、食事は1日3回、栄養バランスを
考えて適量を摂ることが大事です。

気持ちを明るく持って、おいしく感じるものを、
程々に食べて、良い方向にスイッチをON OFFさせて
強い体を作ってゆきましょう。

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