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一の型、嘘の呼吸

呼吸をするように嘘をつく人がいる。この世には信じ難い人間も存在している。それはまるで人間の皮を被った鬼のようだ。

仕事柄、色々な人と出会う。色々と言っても、良い意味ではない。この業界は色々(な意味で)変な人が多い。そんな中、私が出会った人で、一番カルチャーショックだった人物像を語りたい。

「嘘」と言っても様々だ。人を幸せにする嘘や、つかざるを得ない嘘もある。一重に「嘘はいけない」とは断言できないのは分かっている。その前提を踏まえた上で、私が出会った嘘で一番怖かった嘘。善良な人間の仮面を被った鬼の嘘だ。悪い人に見えない。寧ろ親しみを持ちやすく、親しげにしてきて、親しくなりたいと思ってしまうような人。

彼はあるバンドのサポートメンバーだった。普段からインテリジェンスなツイートが目立つ人だった。出会いはとあるライブハウスの楽屋。同じイベントに出た時だった。MENSAジャパンについてメンバーで話に花を咲かせていたいた時、隣に座っていた彼が徐に会話に入ってきた。「おぉ、俺の話をしている」今思うと、何とわざとらしい第一声だろうか。

もともと、Twitterでは認知していた人だった。そのTwitterの人物像的に「なんとなく頭が良さそう?」なイメージが植え付けられていた。今思うと、それもほとんどが虚言、誇張だったのだが、その時は知る由もなし。彼は自分がIQ130以上だと言う。

その会話をきっかけに急激に距離を縮めてきた。彼を知れば知るほど「なんかすごい人」だった。でもどの話も実体が掴めない。証拠がないと言えば、横暴だが、でもそうだった。全ては彼の口からの言葉だけで、証明するような類はない。

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思い出すだけでかなりの数、恐らく嘘だろうと思う話がある。MENSAジャパンも然り、メジャーデビューしたことがある。Twitterがうん万人いた時がある。ライブハウスで長蛇の列をなしたことがある。慶應大学に入学したが大学に意味を見出せずに退学したことがある。だけどもそのどれを話す時も流暢で顔色ひとつ変えないのだ。

「実際は本当の話なんじゃない?嘘じゃないんじゃない?」そう考えることも出来る。しかしこの情報社会において、一度でも成功した人には、その片鱗があるものだ。それは人脈だったり、しいては彼の出すサウンドに見出せる、そんな世界。

彼は私と親しくなった後、事あるごとに絡んできた。Twitter上はもちろんのこと、音楽活動面でも何かとコラボしたいだのと言い寄ってくる。私は当初こそ、それを受け入れていたが、あることをきっかけに国交断絶することに決める。

彼のファンが私に推し変したのだ。担当変え。私からの個人的なアプローチはなかった。彼の希望通り、一緒にイベントを打つことが増え、彼のファンが私を目にする機会が増えた、それだけだった。その後、彼の態度は急変した。

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彼は私のあらぬ噂を流し始めた。しまいには私の見えるSNS上で、私の作品と思われる曲に対し、一方的な苦言を呈し、晒し者にしようとした。自分にとって利用価値のある期間だけは擦り寄り、美味しいエキスを吸って、自分の思う通りにことが運ばなくなると、貶めようとする。呼吸をするように嘘を吐き出す。

国交断絶してからは、アカウントを消しては作るを繰り返し、いくつめか数えきれないほど時間が経ったところで、私をフォローしてきた。その間も私は真摯に音楽と向き合い、様々な形態に変わりながらも努力を続けてきた。少しづつ実がなり始めていた矢先の出来事だった。

もちろん関わりを持ちたくなかったので、リフォローせずに泳がしていたら、またフォローが外れていた。この世界、こんな人でごった返している。これからも粛々と私は鬼退治をせず、己の刀を磨き続けながら、横目で自滅する鬼を鑑賞したい。

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