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姿を変えて、もう一度あなたへ会いに行く

我が家の愛犬は珍しいミックス犬。私の一目惚れで家族になった。次第に成長する愛犬へ何かの面影を感じるようになる…。

うちの犬は私が人生で初めて飼った動物だ。そもそも私は犬が動物が苦手だった。猫はアレルギーだし、犬は幼稚園の頃に追い掛け回されて以来、怖い。嗅覚も敏感な方で、動物園も嫌いだった。

だけどこの子だけは違った。私の内から「恐怖」という感情が、初めて湧かなかったのだ。人生で初めて「この子を抱かせて下さい」と言った。隣に居た主人は心底驚いて居た。「可愛いね〜」と言って眺めるだけしかできなかった私を知っているからだ。

「きっとこの子はくまメロにとって、運命の子だね」そう主人は言って、狭い1ルーム我が家に迎え入れることを許してくれた。この子と遊びたい私は、ちょっかいを出す。ワンコは狂ったように私達の手足を咬む。血が流れる。私が泣く。を繰り返す毎日のスタートだった。

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「この子と遊びたいのに、遊べない。悲しい」と私は毎日泣いて居た。見兼ねた主人が、トレーナーを付けてみようと提案。家に来たトレーナーは開口一番「こんな程度の甘噛みなら1回のトレーニングで直りますよ」神様!

先生の言葉通り、本当に1時間のトレーニングで噛み癖が直った。神様仏様!

成長するにつれて、ワンコの顔付きが変わっていった。私は人生で初めてのワンコだったが、主人は違った。主人は12歳から9年間シュナウザーを飼っていた。私と主人が出会う半年前に病気で亡くなった。我が家のワンコはミックス犬だったが、シュナウザーは入っていなかった。だけど、みるみるシュナウザーの面影が現れて来た。

道ゆく人に「シュナウザーが入ってる?」と聞かれるようになった。その度に主人は亡き愛犬を思い出す。私も写真や動画でしか見たことが無いのに、似ていることを認めざるを得ないほどだった。

きっと生まれ変わって会いに来たに違いない。ワンコ事態の性格と、主人の亡き愛犬の性格は違う。だけどたまに、ワンコの性格では考えられないことをする。私が主人にキスをすることをとても嫌がり、邪魔する。亡き愛犬はメスだ!

普段はそんなことない。だけどふとした瞬間に面影が現れる。「亡き愛犬ちゃんが、ちょっとだけ体貸して!って言ってるのかも」なんて、泣き笑いして言った。

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私と出会うほんの数ヶ月前に、主人の元を去った亡き愛犬ちゃん。主人は亡き愛犬ちゃんを想って1曲書き上げた(主人は作曲家)その曲を、数ヶ月後に出会った私が歌い、歌に命を吹き込むことになる。

輪廻転生を信じるだろうか?この話は、それに近い何かを感じるのだ。愛犬ちゃんを失った主人は太陽を失ったという。夢を追いかける為に、大好きな愛犬ちゃんを実家に置いて来たことを何度も悔やんだ主人。だけど、自分一人生きて行くのがやっとの東京に、愛犬ちゃんを連れ出すことの方が悪いことだと思ったという。

亡くなる直前、主人に連絡があった。「もう間に合わないかもしれない」新幹線の中で覚悟を決めて帰ると、最後の力を振り絞り、待っていた愛犬ちゃん。最後は主人の腕の中で幸せに息を引き取った。

輪廻転生するまでの時間を埋める為に、私を主人の元に引き合わせてくれたのかもしれない。たまーに、ワンコちゃんの身体を借りて、主人に思う存分甘えてるのかもしれない。そうかもしれないし、そうではないかもしれないけれど、そうであってほしいと切に願う。

注:愛犬の写真は諸事情により載せておりません。

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