ブエノスアイレス、バス事情
半年ほど前に「アルゼンチン、バスの旅」について書いたことがあります。
今日は、少し範囲を縮めてブエノスアイレスのバス事情について書いてみたいと思います。
ここに住んでまもなく1年。だいぶ生活になじんできました。交通機関として地下鉄とバスは欠かせないものですが、この1年でどちらも値上げを繰り返し、とうとう料金が10倍近くも上がってしまいました。と言っても、元が日本円にして6円とか8円とか、信じられない料金だったので(政府の補助で運営していた)、仕方ないとは思うものの、やはり少しでも出費は抑えたい。現在地下鉄均一100円、バスは距離によりますが、大体50〜60円なので、最近はもっぱらバスを利用しています。
130本以上の路線バスがあり、朝から晩まで街中を隈なく走り回ります。エンジンをふかす音、ブレーキ音、そしてクラクションととてもにぎやかな乗り物なのですが、それだけではありません。運転手さんは、自分の車体が決まっているのか、電飾などのデコレーションをほどこす人も。さらには好きな音楽をガンガンかけて、鼻歌まじりで走ります。急発進、急停車がデフォルトで、何度転びそうになったことか。最近ではしっかり捕まる術を会得しましたが、それでもまだ怖い思いをすることがあります。
料金は乗車時にICカードをタッチします。運転席の横に機械があり、運転手に行き先を申告し、運転手が操作して料金を設定したのち、タッチ!
それを一人ひとりやるので当然運転席横に人がたまるのですが、ほとんどの運転手は乗客がしっかり乗り切らないうちに発車しようとするのでドアは半開きです。降車時も、止まる前にドアを開けます。
また、バス停はあるものの、路上駐車OKの国のため、車があって定位置で止まれないことがしばしば。そうすると乗りたい人は手を振って運転手にアピールして乗せてもらい、降りたい人は「降りる!」と大声を出して、降りたいところでドアを開けてもらうのです。慣れるまではなかなかそんな動作ができなくて、バスを逃したり降りそびれたりしたこともありました。
そんな恐ろしいバスですが、すばらしいことが2つあります。
1つは、乗客も運転手も挨拶を欠かさないこと。朝なら「おはよう、○○までお願いします。ありがとう」と言うのが決まりで、運転手からも「どういたしまして」と返ってきます。これを一人ずつやるのは本当にすごい。
もう一つ。路上駐車の国と書いた通り、道路の両端には車がびっしり止まっています(ほとんどの道は一方通行)。バイクもバンバン飛ばしているなか、バス停に寄ったり、バイクや自転車(人も)を避けたりするのは、見ているだけでハラハラします。でもいまだに事故を目撃したことはありません。まさに神業のように難所をくぐり抜けていくのです。
そんな運転手さんのおかげで、今日も仕事に行ったり街をぶらぶらしたり。春のブエノスアイレスを楽しむことにします。