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料理と私。

友人から素敵なショートドラマを教えてもらった。北欧暮らしの道具店の「ひとりごとのエプロン」。

第3話で主人公がモヤモヤしたことがあり、ひたすら千切りをして野菜春巻きを作っていた。その姿に感化され、今日の私の夕飯メニューが決まった。単純かよと自分でも思うが、おいしそうだったんだもん。しょうがない。

昼頃に人と会う約束があった。
朝に見たドラマの主人公のようにモヤモヤしたので、やっぱり今日の夜ご飯は春巻きだと心に誓った。

はじめましての人との距離感て難しい。
早口の人だと合わせて早口になって疲れちゃう。私は比較的ゆっくり話したいのにな。
今日は思い出したくない過去の話を深堀され、心がしょんぼりしてしまった。私の中でまだ浄化できてない、とゆうか、やっぱり深い傷なんだなと改めて実感。なぜ初対面の他人の暗い過去にこれほど踏み込めるのかと違和感を感じた。加えて「あなたはこーゆー人だよね」「こーゆー感じが向いてるよね」と言われ、あなたに私の何が分かるんじゃと思いながらにこにこしている自分に疲れた。
傷ついたけど、傷つく自分が悔しかったので、全然平気なふりをした。
やっぱり今日の夜は春巻きを作るんだと改めて誓う。

帰りに近所のスーパーによって買い出しをした。リュックに食材をパンパンに詰め込み、おいしいコーヒーが飲みたくなったのでコーヒースタンドに寄り道。お店のお姉さんに「鞄めっちゃ重そうですね」と言われ、入り口に座っていた60代くらいの夫婦に微笑ましいまなざしを送られた。恥ずかしかったけど買い物ができてコーヒーもゲットできたので満足。

家に帰る。野菜を出しそろえる。母からもらったお気に入りの黄色のエプロンをつける。そして準備が整うと、今朝見たショートドラマの主人公のようにひたすら野菜を千切りにする。料理は得意とまでは言えないが、比較的好きなほうだ。好きなラジオやポッドキャストを聞きながら、にやにやしながら黙々と作る。そんな時間が好きだ。今日もひたすら野菜を千切りしていくうちに、昼間のモヤモヤが消えていった。野菜もりもりの春巻き。野菜とひき肉を入れたおっきな春巻き。見た目はいまいちだが、いい感じにできた。

「春巻き作ったけど食べにくる?」と妹にラインすると、行きます!とすぐ返事が来た。なんせ春巻きは妹の好物なのだ。
私の家で一緒にご飯を食べるのは久しぶりだ。ごはんとみそ汁とサラダに大きな春巻き。妹が目をキラキラさせながら春巻きを一口。
「美味しい!美味しい!!!」そういってモリモリ食べてくれた。自分が作ったものをこんなにおいしいと言ってくれるのは、すごく幸せでうれしくて顔がほころんでしまった。私も一口食べて、思わず「美味しい!」と言った。自分で作ったけど上出来だ。美味しくできて、ああ幸せって。
あっというまに心のモヤモヤも消え去った。美味しいものは正義です。

食べたいから作る。あの人に喜んでほしいから作る。
料理をしている時の自分、美味しいものを食べて幸せって感じてる自分は、すごく自分らしく心が生き生きしていると感じた。