こどもがいじめにあったら 続き

学年主任の先生から「お子さんがいじめにあっている」と連絡が来て、呼び出された。通された会議室には今回のいじめの加害生徒の親たちがいた。みんな部活仲間で、一緒に飲みに行ったりする仲だ。そこへ子供たちと先生がやってきた。先生からまずいじめの経緯が話された。練習試合のときに、まず部員二人が修学旅行の時の娘の態度がむかついたという話になり無視をスタート、次の日、他の友達とも娘の悪口で盛り上がり、勢いで10人で無視し始めたという。休み時間、部活と娘が一人ぼっちだったので、先生がおかしい気付いたそうだ。4日目、娘は部活を休みたいと職員室に行き泣きながら訴えたそうだ。

これを聞いて私はこみあげてしまい、嗚咽をもらして泣き始めてしまった。つられて娘も一緒に。加害生徒の親子が見る前で。娘を生んで、こんなに辛い思い経験をしたのは本心から初めてだ。いじめをされたこともショックだけど、娘がそんなに辛い思いをしていることに全く気付かなかったのが申し訳なかった。模試の結果が悪く、毎日毎日ドヤしていた。あー本当にばかだった。

私は子供と一緒にいたくて仕事を辞めた。フルタイムで仕事をしていたときに、本当に育児はそっちのけで毎日が精一杯だったから、家にいて子供との時間を楽しみたいと思った。学校行事にもできるだけ参加し、役員をして、子供の友達の親との付き合いもせっせと励んできた。親が密に付き合っているのだから、いじめたり、いじめられたりなんてないはずだと信じていた。それだけに、今回部活仲間を始め、幼馴染からも仲間外れにされたことは、私のこれまでの育児観を根底から覆してしまった。どの親も熱心で愛情深く、尊敬できる人たちだったのがショックだった。

娘は最初の3日間は不安そうにおびえていたが、1週間もすると何事もなかったように過ごせるようになっていた。だが私は、この1週間、このことが頭から離れなかった。なぜ、なぜなんだろうと思いあぐねる私の思いを、今回いじめの加害者になった親たちが聞いてくれた。あるお母さんは4時間ぶっ通しで聞いてくれた。みんな謝ってくれた。そしてその中の一人は、2年前にいじめられていたことを話した。2か月、家に帰ってきて泣いていたという。子供から先生に言わないでと頼まれ、ぐっとこらえたそうだ。もし先生に話していたら、今の関係は築けてなかっただろうから、子供の意見を尊重して良かったと話していた。

いじめによる自殺とか、親がちゃんと子供を見ていれば防げるだろう、と私は思っていた。だけど今回のことで、そうでないことがあることもわかった。娘は先生のおかげで短い期間で終わったけれど、もし長引いていたらどうなっていたのかと考えると恐ろしくなる。揺らいだ自分の育児観をもう一度見直さないといけない。


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