仕掛け扉

歩き続けたら突きあたりだった
四方八方壁だった
壁をこぶしでドンドン ドンドン叩いた
平手でバンバン バンバン叩いて泣いた
引き返そう そう思って振り向くと
真っ暗闇の向こう側も壁になってた
絶望 まさにぴったりな文字が頭に浮かんだ
ズルズルと座り込んだまま動けなかった
このまま此処で人生が終わる
そして眠るしかなかった

もう何日何年たったのかわからない
力の弱くなった指先でツンと壁に触れた
すると丸い形で一部分スッポリ壁が抜けた
仕掛け扉になっていたんだ

まったく考えもつかない違った方へ
抜け道は続いていた

抜け道に街灯があるのか
トンネルなのかは誰にもわからない
だけどもし真っ暗な道に出たのなら
カイチュウデントウを持って歩こう
足元に気をつけまわりを照らしながら
注意深くゆっくりと進めるので
その方がかえっていいかもしれない

もし街灯があるのなら
その明かりのひとつひとつに感謝して
ありがたいありがたいと言いながら
頭を低くして通らせて頂こう
あたりまえと気をぬかないように

たとえどのような道に出ようとも
最悪に見える中に最高の一粒を見つけだし
前へ前へと足を出そう
間違っても壁の中に戻ろうとか
決してそんなことはしないように
そして洗われてゆくように変わる日が
必ず何処かの曲がり角の隅に
用意されているのだから

抜け道へつながる丸い形の
仕掛け扉にサヨナラを言おう
そして勇気をアリガトウ

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