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名作小説のミュージカル化-「シラノ ザ ミュージカル」「ダディ ロング レッグズ」-

例えば写真に挙げた「レミゼラブル」は、超大作を見事に三時間のミュージカルにまとめあげ、幅広い年齢層のファンを獲得した。



「ロミオとジュリエット」は、シェイクスピアの古典文学でありながら、ポップなフレンチミュージカルとして愛され再演を重ねている。                                                                                

 このような名作小説は、ミュージカルにすることで、その世界観を明確にすることができる。さらに新たな解釈を加え、世代を越えて愛されていく。

ミュージカル大好きメリアです。
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
今回は、名作小説のミュージカル化について、考えてみました。


原作の理解を深めるミュージカルの力

ミュージカルになったことで、特に理解を深めることができた、二つの演目について考察したい。

一つ目は

市村シラノの男気に感涙



「シラノ・ザ・ミュージカル」 
2001年 ACTシアター
シラノ・市村正親
ロクサーヌ・西田ひかる
クリスチャン・山本耕史

詩人にして剣豪のシラノだが、鼻が大きく醜い容貌。本人もそのコンプレックスから、愛するロクサーヌに思いをつげることができない。

で、ロクサーヌに恋心を抱くクリスチャン(シラノの後輩?)の恋のキューピッド役になる。文才がなく粗野なクリスチャンの代わりに、ラブレターを代筆しロクサーヌに渡すシラノ。


原作では理解し難かったシラノの心情

一幕のクライマックスは、ロクサーヌの家のバルコニーのシーン。
バルコニーの下では、クリスチャンが愛の言葉をロクサーヌに語る。しかし、その言葉は、近くの暗闇に姿を隠すシラノが、プロンプターのようにクリスチャンに教えた言葉だ。
シラノが紡ぐ愛の言葉にロクサーヌが酔いしれるのを知ると、シラノ自らが姿を隠したまま、ロクサーヌに語りかけるようになる。
シラノの愛の告白に感動したロクサーヌは(むろん、クリスチャンの言葉と思っている)、クリスチャンの愛を受け入れ、二人は結ばれる。

ここですよ、ここ‼️
原作を読んでいて、私が大きな疑問をもったところ。
シラノはロクサーヌが好きなのよ。
で、ロクサーヌが酔いしれたのは、本当はシラノの愛の告白。なのに、ロクサーヌの愛を得たのは、詩の才能もない粗野なクリスチャン(美男子だけど)!

普通、悔しくなりませんか?
なのに、シラノはこのバルコニーのシーン直後、今までにない幸福感で満たされます。

原作呼んだときは、ここが理解できなかった。
訳がわからない⁉️私の頭は大混乱🤣

でも、ミュージカルでは、このときのシラノの心情を歌にしていたのです。

「愛の言葉をロクサーヌに伝えられた。それだけで充分だ。しかも、ロクサーヌは私の言葉を受け入れてくれた、これ以上の喜びはない」そんな感じの熱い熱い歌。

容姿にコンプレックスを持ち、愛の世界に踏み込む勇気がなかったシラノ。
たとえ他人になりすましたとしても、はじめて愛のコミュニケーションをとることができた喜びに、もう死んでも良いとさえ思う。

文章読むだけではピンとこなかったシラノの歓喜を  
私は、感動的な楽曲、演出、市村シラノの迫真の演技で、はじめて理解することができた。

原作では表現しきれない心情を音楽の力は、軽々とやり遂げてしまう。
もちろん、脚本、演出、俳優さんの力によるところも大きい。





はまり役だった井上芳雄さん 
「ダディ ロング レッグズ」

「ダディ ロング レッグズ」 
2017年 シアタークリエ
足ながおじさん・ジャービス  井上芳雄
ジルーシャ 坂本真綾

ミュージカルを見て、私の中でイメージが大きく変わった作品。

既存のイメージを崩す

子供のころに読んだ「足長おじさん」の印象は、大雑把に書けば、孤児がお金持ちと結婚するラッキーな話🤣
でも、このミュージカルDVDを見てイメージが変わりました❗

足長おじさんて、「恋愛小説」だったんだ‼️  

何より画期的だったのは、原作では姿をほぼ現さず、謎めいた存在であるはずの〝足長おじさん〟を登場させ、大胆にも、その心情を歌と台詞で表現させたこと。

原作には描かれなかった、足長おじさんの気持ちを表したことにより、足長おじさんが、どのように孤児ジルーシャにひかれていったのか🙄を知ることができる。
つまり、原作はジルーシャの視点で書かれているが、ミュージカルでは、足長おじさんの気持ちになって、ストーリーを感じることもできるのだ。

足長おじさんを登場させたことにより、原作の意図を変えることなく、より観客に深い理解と感動を与えることができた。

この舞台こそ、まさに名作小説のミュージカル化の成功例の一つといえるだろう。


ひろがるミュージカルの世界

例えば「王家の紋章」「デスノート」など、漫画からのミュージカル化の成功例も多い。
もちろんオリジナル作品にも素敵な作品がたくさんある。




ミュージカルファンとしては、これから生まれる新作ミュージカルとの出会いが楽しみでならない。


お読みいただき、ありがとうございます。
今年のメリアは、沢山ミュージカルを観に行く予定です。
また、心に残る作品と出会いましたら、レビューを載せます。
よろしかったら、お付き合いください。

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