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【映画】青春18×2 君へと続く道

「青春18×2 君へと続く道」を見たので、レビュー・感想を書きたいと思います。
※ネタバレあります。

見たのがかなり前なのであらすじとかは省略して、鑑賞後は清原果耶演じるアミが抱えていた切実さに全く気づくことなく、のんきに楽しんでいた前半の自分をしばいてやりたい気持ちになりました。

個人的に印象的だったのは、不意にアミについての報せを聞いたジミーが、悲しみと向き合うことができず目を逸らしてしまったことでした。
夢を叶えると同時に夢を失ったジミー。
その現実はあまりに残酷で耐え難く、「これまで以上に仕事に邁進する」ことでした逃げることができなかった。
そしてそれは結果として、ジミーからその仕事すらも奪うこととなってしまうのでした。

こうした「逃避」は、大なり小なり誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。
他者から見えている自分の役割を全うして自我を保ったり、他のものに熱中しているふりをして崩れそうな自分をなんとか支えたり、そうこうしているうちにそんな仕草があたかもありのままの自分自身であるように思えてくる。
そして、悲しみを乗り越えたような、忘れられたような、そんな気持ちになってくるのです。
しかし、そうして向き合うことのなかった現実は、ふとわたしたちの生活に顔を出し、かりそめの安心をめちゃくちゃにしてしまう。

やはり、深い悲しみには向き合わなければならないのだと、とことん悲しみ、そして別れを告げなければならないのだと、改めて感じさせられたのでした。

これは、ジミーの長い長い青春の物語です。
台湾に住む1人の青年の青春の、始まりから終わりまでを丁寧に描いた物語。

台湾でのほほえましい日々とすれ違い、そして別れ、それらの意味していたものが全て覆される後半以降の展開と彼らのその後を描いたストーリーの構成は、見事という他ないほどの満足感をわたしたちに与えてくれだと思います。 主演の2人の好演も光る、素敵な青春のお話でした。

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