記者が学んだ、面白い記事と退屈な記事の書き方の違い。秘密は「掃き溜めに鶴」。
"A jewel in a dunghill"
英語のことわざです。
直訳すると「糞の山にある宝石」、
日本語のことわざで言うと「掃き溜めに鶴」。
不要なもの、無価値なもの、どこにでもあるものの中に、あまりにも異質で美しいものが一つだけ存在している。だからこそ、その美しさが一層際立って見える、という意味です。
12年ほど新聞業界で記者を続けている私が学んだ、巧みな文章と退屈な文章の違い。それを書き残しておくことで「記事を上手く書けるようになりたい」と願う方々のお役に立てるのではと思い、書いておきます。
面白い記事に隠された仕掛け
結論から言うと、"A jewel in a dunghill"(掃き溜めに鶴)の原理です。
まず、泥水でいっぱいの沼地を思い浮かべてみて下さい。
あなたは遠くからこの沼地を見て「ただ汚いし、面白くも何ともないな」と感じると思います。
だからもうこの沼地に目を向けたくなくなる。
ところがある時、沼地の中に一カ所だけ、キラッと光る場所を見つけたとします。何かと思い、目を凝らすと、何とそれがダイアモンドの粒だということに気が付きました!
本物のダイヤモンド。きっとかなり高価な売値が付くでしょう。
この瞬間、沼地の見え方が変わります。
一つ見つかったのだから、もっと探せばもう一つ落ちてるかもしれない。あなたは始めとは打って変わって、沼地に意識を集中するようになります。
しばらくして2個目のダイヤモンドを見つける。ここで確信します。「この沼地は見る価値が大きい。もっと見ていたい。もっとダイヤモンドを手にしたい」
この話に出てくる沼地は「ダラダラと書かれた退屈な文章」、ダイヤモンドは「キラッと光って心に刺さる秀逸な表現」を指しています。
つまり、一見すると陳腐でつまらない記事なのに、その中にいくつかキラッと光る宝石のような美しい一行を散りばめておくことで、読者の見る目を変え、関心を一気に引き寄せることができます。
だから最後まで興味を維持して読んでもらえる。読後に「読んで良かった」「面白かった」と感じてもらえる。
全部を美しくしようとするのは逆効果
ただ、ここで大切なのは「秀逸な表現を、あえて少しだけ散りばめておくこと」です。
最初から最後まで、すべて美しい表現で埋め尽くしてしまってはいけません。それでは、せっかくの美しさが平準化してしまい、何が美しいのか分からなくなってしまいます。
ダイヤモンドは希少だから価値が高いのです。
まとめ
巧みな文章には、こうした工夫が凝らされています。ちゃんと仕掛けがしてあるから面白いのです。
まとめると、
①淡々と書いた記事の中に、いくつか魅力的な表現の文章を散りばめておく。記事全体の中で、2~3ヵ所ほどで丁度良いです。
②記事全部を美しい表現で埋め尽くそうとするのは逆効果。かえって退屈な記事になってしまう。
これを意識しておくと、より面白い記事を書くことができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。文章力を磨きたい方のご参考になれば幸いです。
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