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Japan Env'tal Lawyers for Future/JELFに参加してみた。


はじめに

この度、またまた新たなコミュニティに参加いたしまして、自分の知的好奇心を思うように満たしていく活動を行いました。

この記事では、なぜこの団体に興味を持ったのか、そして、初めて参加した講演会Reviewを書きたいと思います。

Disclaimer: ただの私の思考整理Noteとなります。誰に対する批判もなく、思ったことをoff the top of my headで書いています。温かい目でご容赦ください。

JELFとは

JELFとは、端的に言うと環境問題に取り組む法律家によるNGOです。

JELFの活動は多岐にわたります。火力発電所稼働に対する訴訟だったり、グリーンウォッシュ(環境に良い活動といいつつ、実際は異なる行動をしていること)の企業に対する申し立てをしたりと様々です。定期的にECO LAWYERSというフライヤーを会員に送付したり、環境と正義(Environment and Justice)という学術的な論文集も出版しています。

ところでみなさんは、日本で気候変動に関する訴訟を聞いたことはありますでしょうか。
環境問題に関する意識が高い欧米では、環境問題に積極的に取り組まない政府に対し、人権侵害であることが認められた例があります。(以下参照)

では、日本はどうか。

某先生曰く、日本の気候変動に関する訴訟は片手で数えるほどしかありません。
現在、横須賀・神戸で火力発電所設置に関して周辺住民が訴訟を起こしています。興味がある方はこちらのリンクから。

もし、ここに環境法に興味がある!裁判ってどうやってるの?などという将来有望な諸君がいる場合は、こちらの動画もぜひ参照してほしい!

ここからは完全に「それはあなたの感想ですよね」のコメントですが、
日本の司法は非常に保守的です。とんだ大事件が起こらない限り、彼らの考え方や正義の指標を変えることは難しいと思っています。
これを変えたい。日本が環境問題で遅れているといわれたくない。そのために、口だけではなく、よりpracticalにimpactのある変革を起こしたい。そんな風に考えています。

JELFに興味を持った理由

どこかのApplicationにありそうな質問項目ですが、なぜ、このような団体を見つけ、Joinしようと思ったのか。

これは、やはり9月からの留学に関係します。私がオランダのLLMで専攻するのはInternational business law combined with climate changeということもあり、日本の環境法について事前に勉強をしたほうが大学院での学びに有効だと考えました。
また、個人的に法律家の環境問題に対する取り組みに興味がありました。私の調べた限り、環境分野に取り組む日本の法律家の組織はJELFのみだったので、これは話を聞いてみるしかないと思いメールしたのがきっかけです。

正直、ダメもとでメールしたので、返信はあまり期待していませんでした。しかし、自分でも忘れかけていた時、返信がありました!
そこから、今回参加した講演会の案内を送っていただき、その後、定期購読の資料なども郵送していただきました。
つくづく、行動力は大事だと思いましたね。なにも怖気づかず、とりあえずやってみるという勢いは重要です。

ここからは余談です。
わたしは、今まで、若者の環境団体に所属して政策提言をしたことが何回かあります。でも、その時ずっと心の中で引っかかっていたのが、

「これ、提出して本当に実現されるの?」

政策提言までのプロセスは、まずグループに分かれて今の日本が抱える環境問題についてブレストします。そこから、その課題に対して政府はどのようなことをしていくべきなのか、一つずつ精査して提言を作っていきます。
私は、プロセスに何も違和感はありませんでした。ただ、いざ完成した提言を見て、達成感はありました。一方で、ここに書かれていることのどれくらいが実現されるのだろうか、と思うようにもなりました。

そこで気づいたのが、政策提言には結局、強制力はないのです。そして、提言内容もSomewhat曖昧で、具体的な施策・運用については悪く言えば丸投げな感覚がずっと私には残っていました。

それ以来、私が目指したのが、何かしらの専門性を持つということでした。環境問題に取り組むにはもちろん広い視野で考えることは必要不可欠です。しかし、だからこそ広すぎる問題すべてを網羅的に扱いきることは無理なのです。
そこで私は、法律の力を通してある程度強制力のあるやり方で社会や政治を変えていきたいと思うようになりました。

これは、私が大学院でInternational relations(MA)ではなく、International business law(LLM)に進みたいと思った理由にもつながります。

今回の講習: みどりのドクターズ

今回は、医師として環境問題に取り組む方々から、お話を聞くことができました。
医療の現場でも、検査などによりCO2を排出しているとのこと。
また、環境問題と医療は接点が少ないように思われるかもしれませんが、実は深く影響していました。
気候変動により長引く花粉症問題、夏になっても子供が外に遊びに行けないほどの猛暑による熱中症、環境問題に悩むあまり、DepressionがつのりおこるClimate Anxietyなどなど、様々な問題があります。
今、環境問題に取り組むことは、将来の患者を減らすことにもつながるのです。
今回は、講演を通して、Planetary Healthについてや、医療の現場で抱えている気候変動に対する課題などを知ることができました。

また、講演に参加されていたある医師の方の言葉、一言一句記憶はしていませんが、ずっと覚えています。
彼のこの環境活動の原動力は「怒り」。バックパックをしていた時に見た、気候変動の影響を最も受ける弱者、人、動物、彼らを思ったときに湧き上がる怒りが、今の活動につながっているとおっしゃっていました。

正直、私はなぜ自分が環境問題に興味があって、この道に進んでいきたいと思ったのか、思い当たるターニングポイントはありません。ただ、自分が特権階級にいることは確かで、自分の知らないところで、私の何かの行いによって(間接的であれど)、家を追われ、苦しい思いをし、何もできずにいる人々がいるならば、何かアクションを起こしたいと思う気持ちは妥当だと思っています。

学び

本公演の参加者は、ほとんどが弁護士の方で、様々な分野での’環境問題'に取り組んでいる方が集まっていました。

まず一つの学びは、現在の日本の気候変動訴訟では、民間人が政府(経済産業省)に対し、気候変動に対する脅威を理由に訴訟することは難しいということです。
先に述べた気候変動訴訟で、当事者が裁判で発言する機会が与えられたそうです。しかし、結果的に当事者の声は判決には加味されませんでした。これは、日本の判決において、この当事者の主張は、客観訴訟(自分には直接関係がない行政活動に対する訴訟)であり、火力発電により排出されるCO2による気候変動がもたらす住民側の被害というのは、かならずしも個別具体的な因果関係がないというロジックです。
これを見ると、環境問題と人権を包括的に議論している欧米に比べると相当、遅れていることが見受けられます。

ちなみに、消費者庁は「環境に配慮した製品である」と根拠なく製品表示したとある企業に対し措置命令を出しました。グリーンウォッシュ対策が少しづつ動き始めていることがうかがえます。

消費者庁 News Release 令和4年12月23日https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms209_221223_01.pdf

また、Climate Anxietyについての質疑応答もありました。私が、講演をされた医師の方に対し、日本におけるClimate Anxietyの現状についてお聞きしました。
いわゆるZ世代の若者が、気候変動による不安感からdepressionを起こし、一種のうつ状態に陥ってしまうことをClimate Anxietyといいます。
正直、私の周りの積極的な環境活動家でも、気候変動がもたらす将来に不安すぎて落ち込んでいる人は見たことがありません。
回答の中で新しい発見は3点。
一つは、対象者は、若者だけではなく、今後出産をしようと考えている親世代にも起こりうること。二つ目は、Climate Anxietyは、危ない状況に対する人の正常な種の防衛として健全な反応であること。三つめは、このAnxietyが社会変革のエネルギーとなるというput a positive spinのpotentialityもあることです。
ちなみに、もしClimate Anxietyの人を見かけたらケアの方法としては、A:緑豊かな場所に連れていき、Green therapyをする、B:すべての情報源を遮断し距離を置くことをおっしゃっていました。まずは、話を聞くこと、不安な人は、誰かにその不安を聞いてもらうとふっと心の荷が下りたりするものです。

あとは、日本における環境法の影響力についてです。
言わずもがな、日本の環境法は極めて脆弱です。他国、例えばアメリカでは、環境法への配慮なくして、経済活動を行うことはできません。また、NGOなどの団体の影響力も極めて強いです。
日本は、法において、住民参加のプロセスがほとんど用意されておらず、気候変動の規制はほぼないといっても過言ではないそうです。
また、最高裁判所も気候変動訴訟に対しての姿勢はNot positiveです。
ちなみに、アジアの国々では、環境法の活動家は多いです。South Asiaの国々でも、市民/NGOが環境を守るために訴訟ができる仕組みがあります。ただ、言及しないといけないのは、そういった国々は前提として、法治主義の原則にゆがみがあります。裁判官に対するわいろ、違法であっても、その行為を行う人々へのpanishmentまで届いていない、などなど仕組みがあっても運用が正しくない場面が多々。


と、いうように、私が講演中にメモしていたことをざっくばらんにjotted downしたわけですが、切実に、もっと環境に関してアクションを起こす人が増えてほしい。
世界を見て、日本のtoo optimisticな現状に気付いてほしい。この贅沢すぎる日常を当たり前だと思ってはいけないのです。
そして、それに気づく法律家が増えてほしい。
人々の意識を、社会の意識を変えるために、その社会を構成する法律を変えるのです。


最後に、この記事をJELFのメンバーの方がみているかはわかりませんが、ここで再度、感謝の気持ちを述べさせてください。
また、私のために、講演後に交流会を開いていただきありがとうございました。
本公演は学生向けだったのに、学生が私だけだったこと、気まずい気持ちを乗り越え、交流会まで残って本当に良かったです。
皆様、非常に優しく、私の質問にも丁寧に対応いただきました。
また、機会があれば、今後の講演会にも参加していきたいと思っております。


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