見出し画像

【詩】底

薄明るい沼の底から
膝を抱えて空を見る

雀が一羽、空の彼方を
燕が三羽、水面の際を

足首に絡まった粘つく水草
擡げる手首は届かないまま

差し伸べてくれたその手に
絡める指はとても温かくて

消えてしまいそうな儚い思い出
片手は蓮の茎、片手は貴方の指
さようならを伝えて花に添える

春の酸素が迎えてくれる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?