【拝読したご本。】くるみと七人のこびとたち(5)(なかよしコミックス)

 本日ご紹介するのは、高瀬綾先生の『くるみと七人のこびとたち』第5巻。
 主人公の『森本くるみ』ちゃんが、秩序が乱れてしまった童話の世界『メルヘンランド』を元に戻すため、七人のこびとたちや白雪姫の王子様『カイル王子』と『メルヘンランド』を冒険する、1990年代、少女漫画雑誌『なかよし』に掲載されたご作品です。

 “んん? なぜに5巻のみ紹介するの??”とお思いになられるかたもおいでかと思うのですが。これにはめっちゃ私的な理由がございまして。

 少女時代のチヅルさん、紙のご本で4巻までは集められたのです。ですがしかし! 運命とはああ無情、最終巻である第5巻のコミックスだけ……本屋さんでどうしても出会うことができなかったのです(売り切れちゃっていたのかな……💦)。そのままお店に置かれる単行本はどんどん移りかわり……という。当時、インターネットショッピングなどなかったからね!! ご本もぽちっとすれば、あっという間に手の内な今の文明マーベラスですね(拝)!

 本誌で拝見して、すごく感動したのは覚えているけれど、その後どんどん記憶は薄れ、何度も何度もただ4巻まで読み返して。その内に、嗜好もちょっとずつ変わっていって、すっかり大人になっていました。

 そして運命の日はやってきます。あれ?? なんだか最近、昔の『なかよし』作品が続々電子書籍化しているような……??

 なんとなく予感がして、ディスプレイに『くるみと七人の~』を入力してみると。検索結果に出てきたんですもう、ちょっといろいろこみ上げて、泣きそうになりました……!!

 とりあえず、とっても気になっていた5巻のみぽちり。……うん、いきなり一気に書籍を5冊購入できるほどの(『財力』という名の)力など、一介の同人声優にはございません。いつか、“ここの端から端まで、気になるから注文させて頂戴(※貴婦人っぽい声色で)”と優雅に購入ボタンをタップできるほど、ファビュラスになってみたいものです(真顔)。

 どきどきしながらダウンロードして、拝読しました。
 ここから大変申しわけないのですが、『ネタバレ』が多分に含まれますので、未読かつこれから楽しみたいよーというかたは、全力で回避していただけましたら、と思います💦

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 読みすすめてゆくうち、本当に懐かしさがあふれてきました。
 ああ、こんなキャラクターもいた。このキャラクターのこともちゃんと覚えている……。

 そして、思った以上に次々押し寄せる怒涛の痛みや悲しい結末に、少しぎょっとしました。

 でも、すべてのページを読み終えたあと。
 それでも私の中に最後に残ったのは『痛ましさ』や『虚しさ』なんかではなく、物語自体が持つ『美しさ』や『未来を生きることへの考察』。

 それは、いわゆる『トゥルーエンド』と呼ばれるもの。

 くるみちゃんは命を懸けてなんとか『メルヘンランド』を守り、救い、これまでの過程で恋に落ちていた白雪姫の王子様『カイル王子』とお別れする。

 元の世界に戻って、白雪姫の物語を読んだ彼女は、挿絵の王子様を見て、涙を流す。記憶はとっても偉い神様に消されてしまっていて、もうないけれど。

 ――なんで、あんなに心に残ったのだろう。

 どうして、『悲しい』印象は、今まで残っていなかったのだろう。

 改めて拝読しおえて、いろいろ考えたのですが。

 きっと、高瀬先生が『子どもの私たちでも、この結末を受けいれてくれる』って信じてくれているのが伝わってきたからじゃないかなぁ、と今は思います。

 もちろん、ちゃんと『受容』ができるように高瀬先生の才能や技量でわかりやすく導いてくださったというのが大きいですけれど、なんだか、しっかり向き合ってくれたようで。うれしかったんじゃないかなぁ。

 多感な子ども時代に出逢えて、本当によかった、と心から感謝するご作品のひとつです✨

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