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画質の粗いジャケットすら愛していたいの

推しているバンドのドラマーのツイートがバズった。

新曲のお知らせでも、新しいCDジャケットでも、斬新なMVでもない。何でバズったかというと、雷の写真である。なんか思っていたバズり方と違う。でもTwitterのTLに何度か流れ、「○○さんと○○さんがいいねしました」と普段まるで違う音楽の趣味をしている友人たちが反応していたのを知って大声で叫びたくなった。


そのすっごい写真撮ったのは         WEAVERのドラマー、べえちゃんです!!!!!



叫びたい。見晴らしの良い高台から叫びたい。推しは河邉徹という名前で、ファンからはべーちゃんとかべえとか、べえちゃんと呼ばれていて、彼は写真が撮れて、しかも小説も書けるんです。でも本職はWEAVERってバンドのドラマーで、歌詞だって書くのだ、と。彼のドラムを叩く姿は本当に楽しそうで嬉しそうで少年みたい。それでいて紡ぎ出される歌詞は本当に繊細でやさしくて、誰かの心にするりと寄り添うような、そんな。息継ぎすら忘れて誰かに畳みかけたくなる。

そんな彼らのことを好きになって、もう9年以上が経った。初めて行ったライブハウスは彼らのライブだったし、初めて買ったCDも彼らのものだった。

わたしが初めて買ったCDは、WEAVERの「夢じゃないこの世界」だった。



バイト禁止の高校に通っていたわたしは、お小遣いでしかCDを手に入れられなかった。それで中学生の頃からずっと好きだったWEAVERを含め、CDはすべてTSUTAYAで借りるレンタルで手にしていたのだ。

福岡に住んでいた頃、今はリニューアルしたオレンジ色の複合施設の6階にかつてあったCDショップで予約した時のことを今でも覚えている。受け取った時のことも。

初めてCDを受け取った時に頭に浮かんだ感想を正直に話すならそれは、「嬉しい!」とか「感慨深い」とかよりも「画質………!!!!!!」だった。ごめんWEAVER。違うんですクレームじゃないんです。

今までわたしが見ていたのはすべて、ジャニーズやドリカムなどのいわゆる大手グループのCDばかりだった。だからなのだろう、そのとき初めて手にした彼らのCDジャケットは、自主制作か?と思うほどザラザラで粗い印刷だった。実家を出てしまっていて、今手元に無いのが惜しいくらい。ちょっと見てほしいくらい粗かった。その記憶だけは鮮明にある。けれど、それすら愛おしかった。はじめて自分の手のひらに、だいすきな3人が紡いだ音楽が詰まっている宝物があることが嬉しかった。


あれから7年が経った。

一緒に年を越すべく神戸まで行ったのが一昨年のこと。10周年記念ライブに行くべく、これまた神戸まで行ったのが去年のこと。変わらず彼らは同じ3人のまま、ずっときらきらした音楽を紡ぎ続けている。去年には2枚目になるベストアルバムも出た。そのときの彼らのCDは、比べ物にならないほどしっかりとした装丁で、飾っておきたいほどだった。10周年記念ライブでは、これまで出したCDを小さくしたキーホルダーがグッズになっていた。一緒に行った友達と交換しながら厳選し、わたしが悩み悩んで選んだふたつのうち、ひとつは「夢じゃないこの世界」だった。紛れもない、はじめて買ったCDだ。もっとジャケットが好きなCDも、好きな曲が入ったCDも沢山ある。( もちろん、どのジャケットもとびきり可愛くて、どの曲にも溢れんほどの思い入れはあるのだけれど! ) でもやっぱり、はじめて買ったCDは特別だった。

開けると中まできちんと作られている。

その丁寧さが好きだ。彼らの世界観が好きだ。こだわりが好きだ。価値観が好きだ。曲の疾走感や、うっとりするメロディーが好きだ。ありのままを認めてくれて、でも変わりたい自分の背中も押してくれる歌詞が好きだ。それぞれが得意な分野で音楽以上の世界を作り出す彼らが好きだ。好きなところを挙げればキリがない。これまでもこれからも、ずっとわたしにとってWEAVERは特別な光を放って輝き続ける。




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