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#24 偶然性格の良い外国人エリートに絡まれ劣等感を覚える  30代からの英国語学留学記 2018年2月21日

この日も何事もなく朝を迎え学校へ行く。

渡英し語学留学へ入学して1週間過ぎたが、正直まだ慣れない。

特に2コマ目の女性教師、アリス先生の授業だけがどうしても苦手だ。

波長が合わないのか、彼女の英語が全く聞き取れない。そして性格もちょっとキツイので、彼女の授業をうけるのが精神的にもキツく覚える。

だが彼女は、推定30代後半の綺麗なブロンドの女性、ということで、オヌール含む他の外国人男性生徒からは異常な人気がある。
オヌールは彼女のお尻ばかりを見て授業が終わるという。

親の金でイギリスまで来ているんだから勉強しろよクソが、と毎度思うのだが。

特に大きな達成感もなく、今日の授業も終了。
一部課題は学校のウェブサイト経由で出されるのだが、どういう訳か僕のIDで入れなくなってしまったことに気づく。

この種の技術トラブルはよくある話だが、英語以外でコミュニケーションを取る方法がない状況でこの種のトラブルに遭遇したことはこれが初めてであり、焦る。

話をしやすい学校の先生や事務員の人に相談したのだが、この種のIT技術的な問題は彼ら彼女らも門外漢であり、専門のIT技術者に相談するよう、当然のことながら持ちかけられる。

当たり前っちゃ当たり前の話ではあるが、英語能力が不慣れな自分が全く今まで絡んだことがない人間に、この種の複雑なIT技術的なトラブルの話をちゃんとできるのか、そして果たして解決ができるのか大いに不安になる。

当然向こうもプロだから、恐らく解決はできるのだろうが、肝心の自分が相手が話す英語による解決策を聞き取れるか全く自信がない。

僕が学校で普段話をするネイティブ英国人は皆外国人相手に英語教育を施すプロであるため、僕が理解できる英語を極力話すし、僕のbroken Englishに対しても十分受け入れられる能力があるが、IT技術者もそのような技術を身に付けているかどうか正直分からない。

少なくともホストファミリーの英語が全く理解できない今の自分にとって、非英語話者対応の教育を受けていない人間に込み入った相談を持ち掛けざるを得ない状況は結構ハードである。

意を決してIT技術室的な部屋に入る。
1週間、この学校に通っているが今まで一度も訪れたことがない、半地下のエリアにその部屋はあった。

恐る恐る入ると、中には身長2m近いが、体系が異常にスリムな黒人の男がしかめっ面でPCと格闘していた。

話をすると彼はナイジェリアからの移民であるとのこと。

これまでの人生で黒人と会話をしたことが殆どなかったので、俄然緊張する。

彼は全く愛想がないが、幸運なことに発する英語は非常に聞き取りやすく、そして僕の不慣れな英語による学校のイントラネットに入れないという相談も十分理解してくれているようだった。

解決まで時間がかかるので、少し待ってくれ、と言われ、とりあえず部屋の中をウロウロする。

入った当初は2mの黒人職員にビビって全く気付かなかったが、その教室には僕と彼以外にも人が3人いた。

タイ人の女子二人と、中年の小柄な白人男性。

僕が黒人技術者との会話を終えた途端、その白人男性が非常に友好的に僕に話かけてきた。

彼はコロンビア人で元CISCOのエンジニアという超エリート。

地元の大学からコロンビアのCISCO支社にエンジニアとして入社したが、思うところあってCISCOを辞めて、さらなる高見を目指すため、オックスフォードの大学への入学準備のため、この語学学校に通っているとのこと。

そして外見を老けて見えたが僕と全く同い年であった。

社会人経験があり、全く同じ年で、仕事を辞めて自己研鑽のためにイギリスの語学学校へ通っている仲間が見つかって嬉しい、と屈託のない笑みで語るコロンビア人の元CISCOエンジニア。

残念ながら僕は彼のようなエリートではない。

当然のように彼はこの語学学校で最上位であるレベル7に所属しており、オックスフォードの大学入学準備プログラムを受けている。

そしてタイ人女性二人も彼と同様に、祖国で外資系の素晴らしい会社、P&Gに入社したが、何か違う思いがしたため二人で退社をし、オックスフォードの大学で勉強をやり直し人生を再度変えたいと思っているとのこと。

3人ともこの部屋にいたのは、明日の授業の宿題でPCを使う必要があり、ここを借りて3人で作業をしていたからと説明を受けた。

3人とも英語能力が吃驚するほど優れており、容易に聞き取れるだけではなく、こちらの適当すぎる英語も十二分に理解してくれる。

初めてであった人と英語でスムーズにコミュニケーションを取れたのはこれが人生初であった。

無論、僕の実力ではなく、彼ら彼女ら3人が優れた人物だからである。

3人とも超スーパーエリートであることは疑いようもないのだが、人間性も優れていた。

同じ年で学び直す人間はシンパシーを感じるから嬉しいよ!お互い頑張ろうぜ!と何の衒いもなく話す3人ではあったが、明らかに僕とは異なる存在である。

会社のお金で海外の一流大学留学というのはそれなりに聞く話ではあるが、3人とも祖国での地位を捨てて、仕事を辞めて自費で来ている。

それだけ自分に自信があるし、その自身も嫌味にならない人間性が3人にはある。
それにも関わらず、僕のような適当な理由で仕事を辞めて語学学校でええや、と満足している人間にも、同志として極めて友好的に話しかけてくれるのである。


人間としての底が圧倒的に違う。

会話はとても楽しかったが、強烈な劣等感を覚えずにはいられなかった。

10分程度会話を彼ら彼女らとしていたら、件の高身長ナイジェリア系英国人エンジニアから不具合が修正されたとの報告を受ける。

とりあえず問題は無事解決できたのは良かったが、心の中には何とも言えぬモヤモヤが生まれていた。

今までの人生で、いけ好かない日本人エリートとは何度もあった。
だが彼らは皆文字通りいけ好かない存在であり、多大な欠点が見受けられたため、酸っぱい葡萄の論理で一方的に腐して自身の自尊心を保ち僕は生きていけた。

だがあのコロンビア人男子とタイ人女子は、僕が今まであったクソジャップエリートとはレベルが違う人種であった。

世界はこういう人たちが先導して良い方向に動かされるのだな。そして自分はそれには値しない。

分かってはいたが、受け入れることがキツイ現実を思い知り、うなだれながら家に帰る。

上を見てはキリがない。

そうはいっても自分がボトムであることを認識せざるを得ないのは、やっぱり辛い



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