#34 初めての予期せぬ三連休 だが雪で何もできぬ。英国でも雪は害悪 30代からの英国語学留学記 2018年3月02日
まさかの悪天候による休校。降雪が結構申告。10センチ近くは降っている。地元東北でもこれだけ降れば焦るレベルの降雪。休校もこりゃやむを得ない。
そして渡英して初めての予期せぬ三連休の初日。だが降雪のせいで選択肢が極めて限られている。
いつも通り朝8時くらいに朝食を摂るも、同居人のアブドゥルもシナンも何故かいない。独自のネットワークで別の場所にいるのだろうが、アブドゥルはともかくシナンくらいは何か一言告げて欲しかった。
寂しい
ホストファミリーは予期せぬ大寒波と降雪であたふたしているようで、異国の下宿人に何ぞ構ってられない様子。
分かってはいたがこういう時こそちょっと構ってほしい。
部屋に戻りゴロゴロするほかないのか、と諦めモードに入るも、流石にそれは勿体ないので、意を決して10時くらいから外に散歩へ出る。
一応東北育ちの僕には10センチレベルの降雪なんぞ造作ないと高を括っていたが、ここオックスフォードの住宅街ではどこも雪かきをされていないため歩きにくいことこの上ない。住民も行政も何ら措置をしていないので大惨事である。都内の場合、雪国出身者が自発的に雪かきをするケースがあるが、ここイングランドではそもそも雪が降るケースが稀なので雪かきをする、という発想を持っている人間が皆無のため、このような悲惨なことになっている。
人生でここまで降雪の影響で歩きづらい住宅街というのを経験することはもう二度とないだろう。本当に酷い。
それに加えて雪質が水分の少ないパラパラな雪なので、風が吹くとフケのように周囲に飛び散る。風も強く、粉雪が頻繁に目に入り、歩くだけで困難な状況。
バスは案の定ダイヤが滅茶苦茶乱れており使えるとは思えない状況なので、ただ只管オックスフォードの住宅街を歩くのだが、住宅街だけあり本当になにもない。
渡英直後であれば日本では見られない歴史ある英国ヴィクトリア様式の住宅が立ち並ぶ光景に心躍ったのであろうが、1か月近く経過し完全に見慣れてしまった今では、同じようなレンガ造りの家がただただ連なっているだけとしか思えない。
いつも通学に使っているバス亭付近には多少なりとも商店があったことを思い出し、大通り沿いへと向かう。
ポーランド料理屋があり、そこは降雪にも負けず普通に空いていたので取り合えず入ってみる。常連と思わしき1組の顧客と店主がポーランド語と思わしき子音が連続する独特のクセの強い言語で何やら会話をしている超アウェイ空間であった。
超一流大学都市オックスフォードと雖も、郊外のレストランにアジア人が来るのは珍しいようであり、かつこのような状況なので、店主と思わしきおばちゃんと、常連の顧客がやたらフレンドリーに話をしてきた。
何人なのか?何故ここにいるのか?何故この店にわざわざ入ってきたのか?という予想通りの質問
日本人で仕事辞めて英語勉強のためにここに来た、ホームステイ先でランチがでないのでご飯を食べに周囲を歩いていたらここの店しか開いていなかったのでここに来た、と誠実に嘘偽りなく回答。
妙にフレンドリーで喜んでくれた。ポーランド料理に何ら知識がなかったが常連のファミリーに寒い時にはこれを食べろ、と勧められた肉スープ的なものを注文し食す。
ベジポタ系ラーメンスープみたいで滅茶苦茶美味い。見た目と異なりかなり優しい味。
誇張抜きで渡英して番美味しいかった。
イギリスで一番美味いのはイギリス以外の料理である、と良く言われており、改めてその説が真実であると思いを強くした。
帰る際、ポーランド人の子供たちにバイバイと声をかけられたのがちょっとうれしかった。
ここオックスフォードでは、アジア人というだけで白人の子供は異物でも見るような目で恐怖と見下しが混じった目で見られた経験ばかりしてきたので、好意的な視線を白人たちから浴びれたのは本当に嬉しかった。
店を出ると幸運なことに公共バスがバス停に止まっていたので早速乗り、シティーセンターへ行く。
先日とうって変わって中はガラガラ。だが雪道故にバスはノロノロ。そして道中乗る乗客は疎ら。いつもの2倍くらいの時間をかけてシティーセンターへ到着。
普段は学生、勤め人、観光客でごった返しのオックスフォードのシティーセンターだがこの日は流石に人がまばら。妙な感じがする。一応学校に行ってみたが事前の宣言通り完全に閉まっていた。
そして学校以外もチェーン店以外のお店は殆ど閉まっている。それだけ異常事態なのだろう。
このような状況故に空いているか自信はなかったが、ずっと目をつけていたアシュモレアン博物館という所へ向かう。驚くべきことに公共施設故のジョンブル魂による扶持なのか、問題なく開いていた。凄いぜ!
ここAshmolean Museum of Art and Archeologはオックスフォードの大学群に属している博物館・美術館であり、非常に貴重な美術品、考古学的遺品が多く貯蔵・展示されている。
元々は金持ち貴族のコレクションを展示する(いけ好かない)所だったらしいが、天下のオックスフォード大学に属するという特徴故に世界各国の様々な価値あるものが(おそらく相続税対策で)寄贈され、非常に規模の大きな博物館になっているとのこと。
寄贈自体は(多分相続税的な意味で)本当なのだろうが、大本は間違いなく世界各地から略奪品であることは否めない。
しかし都合の悪いことはシレっと無視する国民性故に、勿論そのことには全く触れていない。
語学学校のドミニクおじいちゃん先生がロンドンの大英博物館を10分の1程度に濃縮した所、と評していたが、実に的を射た表現だと思う。まだ大英博物館行ったことないけど。
大分腐した表現ばかりしたが、入場料タダとは思えないほどの超絶ハイクオリティの博物館であり、入場時のチェック等殆んどなく驚く程気軽に入れるのは素晴らしい。
土日どころか平日も恒常的に混む所なのだが、今回は異常な降雪がブリテン島を襲っているという超イレギュラーな事態なので吃驚する程ガラガラ。貴重な人類の遺産(イングランドだけの遺産では決してない)を思う存分鑑賞できた。
(分かってはいたが)英国の博物館なのに、古代エジプト・スーダンやローマ、ギリシャ、インド関係が異常に充実しているのは流石と言った所。
日本で展示したら長蛇の列且つ大規模なバリケード故に近くで見れないような貴重な彫刻群ですら、何の囲いもなく警備員すらいない状態で展示されており、気兼ね名なく間近で鑑賞できるのは正直凄い。入場料タダだし
芸術・文化鑑賞は何ら障害なく自由に楽しむべき、というのがジョンブル魂なのかもしれない。まぁ全部略奪品なんだろうがね!
ちなみに英国っぽい展示もそれなりにあった。銀の食器類や金貨類、貴族がパトロンとして子飼いにしていた画家に描かせた写実的なポートレート群
何というか微妙に俗っぽくていい感じ。
そして銀の食器なんぞ今まで全く見たことが無かったのが、本当に驚くほどピカピカ光っていてビビる。貴金属は凄い。素材の良さは科学技術でも越えられないものがあると門外漢ですらわかるし、そりゃ金や銀は古代から珍重されるわ、という説得力を否が応でも感じさせる凄みがあった。
だがこんなもので飯を食べるのは悪趣味だと素直に感じる。しかもサーブされるのはマズイ英国飯。飯が不味いから貴族は食器だけにはこだわったのだろうか。
ちなみに後で調べた所、クロムウェルのデスマスクやアラビアのロレンスが実際に着ていたアラブの儀礼服、ストラディバリウスの弦楽器群などあるらしいが、展示が多すぎ且つ館内がかなり複雑なため見事見逃す。
再訪を誓う。
しかしこの種の展示は普通に考えて超超目玉級の目玉だろうに、シレっと他の展示物と同等として飾るのがオックスフォードの博物館の扶持なのだろうか。もっと大々的にアピールしてほしかった。
まぁ金銀の調度品に目を奪われて探索を怠る僕が極めて俗っぽかった、というだけなのかもしれない。
この博物館は本当に広大で且つ作りも複雑だったため、気が付けば閉館時間。
このような環境か故にシティーセンターで粘ってもどうしようもないため帰路につく。それなりにまた雪が降りだしているが、バスは一応動いてくれいいて本当に助かった。歩いて帰るには結構シンドイ距離である。異国だから猶更キツイ
だが帰りのバスは、ノーマルタイヤで雪道を進もうとして事故ったアホがここイングランドオックスフォードにもおり、道路が尋常ないほどの大渋滞。悲惨な姿になり果てた自動車をバスの車窓から沢山見てしまった。
そのせいかいつもの3倍近くの時間がかかったが無事帰宅は出来た。
晩御飯もいつも通り食べられたがアブドゥルもシナンもいない。
雪が降る中一人で食べる夕食は寂しい。
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