第②回【枕詞大賞】《まくら節》部門
映画界のアカデミー賞が迫るこの時期に今年もやってきた【枕詞大賞】。
去年の一年間で書き連ねたまくらの中から韻を踏んで文字を換えて意味を含ませた造語と言い回しを自画自賛して表彰するこの企画。
こちらは《殺し啖呵》よりやや長めの《まくら節》部門。
まずは第①回をおさらい。
👑【大賞】👑
「〈報道の自由〉を盾に情報を恣意的に切り取る暴挙は如何ともしがたく遺憾でしかなく、裏も取らずに読者の好奇心を掻き立てる著名人のゴシップをていよく書き立てるていたらく。〈情報源は守秘義務で明かせない〉決まり事を守って「関係者」と都合よき決まり言葉、誤シップ記事で読者に植えつけた印象は変更がきかねば問われる偏向報道の品行方正、大手の既存媒体なら名誉毀損もおてのもので法的措置もなんのその、誤シップにキョドる阿呆を見る阿呆、同じ阿呆なら踊らせにゃ損々、ついでに名誉も毀損々!」
『純粋媒体批判』
【銀賞】
「エロスとラップは陰と陽ならぬ淫と韻、陰陽師は印を結んで唱えるエクソシストだがまくラップの登場人物は韻を踏んで乱れるエクスタシスト、快楽のためなら性器をINシテミルだけじゃダメ、似た性癖を持つ勢力増員シテミテ精力増強剤も暴飲シテミタ狂宴への招待こそ淫靡テーション。下ネタ隠語でラップっぽいのはNTR、ネトラレたことがネタバレたら不倫確定、姦淫は姦淫でも皆でやればこわくないのは夫婦同士でスイッチングするスワッピング、「姦」の字に女三人いりゃ夫婦三組でエッチ・スワップ・ワンナイト」
『夫婦交姦』
「おちゃめなおとめならご愛嬌だが中年のおっさんとあらばご大層、慣れとはこわいもんで一応の謝罪は一言で一瞬、平身低頭して詫びる気はさらさらなし、皿は割れるものよと一向に悪びれることなく河童の屁、割り方も河童の頭ならパックリ致命傷だが十本の指はパクリともせず皿で血を流す切り傷はなし。皿の割りように女将はドン引きするも下町のそば屋とあっちゃサラリーからサラワリー分を天引きするのもとんだ人情沙汰、サラワリーマンことアライバアルバイトは皿割れたのに行方は知れてて翌日も元気に出勤」
『そば屋の皿割り』
【銅賞】
「三日眠り続ければ三日寝坊主、歌で寝たなら歌で起こすべく♪寝坊や~、悪い子だ起っきしな~♪と日本昔ばなしのオープニングを口ずさめど寝坊助の目蓋はオープンせず、西洋昔ばなしに取って代わったスリーピング・ビューティたる眠り姫ならぬ眠り殿。半年過ぎれば変温動物のウィンター・スリープたる冬眠を越えてSF小説のコールド・スリープたる凍眠、現代なら仮眠を超えた過眠症でも落語の舞台たる江戸じゃ奇病奇天烈にも大らか大まか大ざっぱ、いずれ起きらぁと寝た子を起こさず待てど暮らせど待ちぼうけ」
『寝床寝坊助』
「研究者Researcherが揃えたラインナップのお毛並み拝見、ボノボにタイマイ、ヤマシマウマにスマトラトラ…耳につく名の動物も目についたらアンタッチャブル!天然記念物のニホンカモシカ、山中で遭遇したらthank you feel so goodだが保護はできずにただ観察、保護・観察とくれば少年犯罪にも年齢制限、天然危険人物のニホンダンジが載るのはRed listならぬBlack list、B指定のB-Boyがネンショーでおこした騒動はso dopeだったが不完全燃焼、獰猛ぶりはもうどうしようもなくアンストッパブル!」
『R指定』
「いやはやようやとやって来た吾輩の出番、出てくれ出てくれと請われて久し、今か今かと腕をまくるも念には念を入れられすぎたか待てど暮らせど三遍まわれど煙草にゃされず、それならそれよと格好と勿体つけてちょろっと行方を晦ましてみたのが運の尽き、温存に続く温存のほとぼりがとうに冷めてもキリンや首長竜にろくろっ首もびっくりなほど首を長くしても音沙汰なしのつぶて、まさに身から出た錆、足から脱げるのは足袋、韜晦先に立たずとはこのこと、急いては事を仕損じるが急かなくては仕事を損ずる」
『言業士トコザワ』
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〈次点〉(順不同)
「今年は暦とにらめっこしまして月五回アップップ、それを十二ヶ月続けりゃ六十回を数えてちょうど百席の大台突破、まさに一年発起したはいいが取らぬ枕のカバー算用、作者策におぼれてあっぷあっぷすること請け合いだが〈負けを抱く〉と書いて抱負、と新年のご挨拶にかえる「年賀枕」は「年賀状」と見間違えるくらいには瓜ふたつ、ついでに虎の威ならぬ戌の成借りて、《戌せば戌る!》てわけで、今年もひとつ」
『年賀枕』
「右を見ても左を見ても見目麗しい色男、よりどりみどりのあおあかきいろ、男運のなかった姫君たちゃ目の保養ついでに男を見る目も養いたいところだが、どっこい殿堂の殿方も軟弱の軟派者、姫君のもてなしはお安い御用のお手の者だが旦那としては半人前の半端者、甲斐性なけりゃ縁組も解消に次ぐ解消、殿方も殿方でワケありいわくつきならバッテン印のお墨つき」
『殿堂入り』
「怒張していきり立った太巻きこと鬼の鉄棒を誇る鬼の形相で恵方向き、威風堂々と仁王立ちすりゃ金剛力士にして直立不動明王、無言で食うのが作法なら咀嚼音ならぬ即尺音は控えめに。舌なめずりもそこそこにゴポグポゴポリ、鬼畜たるものイライラ棒でマスラオのイラマチオ。喉仏まで届けば南無阿弥陀仏、咽喉の淫行でのどちんことがっちんこしてこんにちわ、貝合わせならぬ槍試合の唾ぜり合いもそこそこにゲホゴホゲホリ、むせ返った嬢の目から滂沱(ぼうだ)の雫がこぼれればあっしの坊(棒)やの雫も込み上げる」
『恵方抜き』
春先から摂生して体腸を整えた女王様にとっても書き入れ時ならぬ放(ひ)り出し時、世界各地へ旅行に出掛けるパンピーを尻目にMenズは女王様の尻に目が釘付け、儀式めいた荘厳な雰囲気で黄金を捻り出す錬金術ならぬ捻金術、限られしMの中のM男しか味わえない倒錯の世界にショートトリップ。世界各地でさんざ散財するパンピーを尻目に、女王様からの期間限定キャンペーン特典は錦の袋ならぬエナメルパンティーに包まれた金一封、とうに過ぎた冬季五輪に遅れてMenズに訪れたのは季節外れのゴールドラッシュ。
『黄金週間』
「ギャングのタギングよろしく街のあちこちに悪ガキの描き込む存在証明を見ようとラクガキ.comなんてドメインつけてググっちゃダメよん、スプレッドシートにゃ描き込めないスプレーアートたるもの道端でバッタリ!バッサリ盛りつけたロメインレタスがシーザーサラダと呼ばれるアメリカじゃ〈ウォール・アート〉と呼ばれる壁画に価値あれど日本じゃ塀画は損壊行為、警察も神も畏れず描き散らす落書きはジーザスサラバ」
『落書きラップ』
「音から音へ異句同音の語義変換でもって場面転換、押韻の余韻で耳目を惹きつけてから味つけは後づけ、意味新超の惹句ナイフで切り込んでは同工歪曲のパンチラインで殴り込み、切った張ったは物騒だがギッタンギッタンのバッタンQさせずにペッタンペッタンしたのは下線リンクのコピペ、クピポ!ならガッちゃん、最後はオチたるざぶとんとガッチャンコ」
『マ行使い』
えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!