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【相談事例#06】内科|電子カルテのデータ移行はどこまでできるの?

みなさんこんにちは!目利き医ノ助の松岡です。
【相談事例シリーズ】では目利き医ノ助メンバーが実際に相談にのらせていただいたIT化・DX化の相談内容と『重要なポイント』を紹介しております。


ご相談クリニック情報

■状況:開業4年目
■診療科目:内科
■関連システム
 電子カルテ

相談内容

今年に入り某クラウド電子カルテメーカーのサーバーエラーが多発していることにより電子カルテメーカーの入れ替えが可能か?どのくらい大変なのか?とご相談をいただきました。
まず、トラブルによる実害がどのくらい出ているかを伺ったことろ以下のような状況でした。

《トラブルによる実害》
■月に数回、数時間のフリーズ
■障害時にローカルデータに切り替えて、カルテ入力が可能と聞いていたが切り替えに時間がかかり使えない
■トラブル復旧するまでは休診にする場合も

また、これらのトラブルがクラウドサーバー側に原因がある場合、改善までそこそこ期間がかかる可能性もある。それらを踏まえると電子カルテ入れ替えは選択肢としてありではないかと。なりました。

データ移行どこまでできる?

では、実際に電子カルテメーカーを替える場合に、データ移行がどこまでできるのか、特定のメーカー同士の移行を除き、一般的な考え方を見ていきましょう。移行できるデータは大きく分けると以下の2種類となります。

①患者頭書きデータ
 ・個人情報(氏名、性別、生年月日、年齢など)
 ・保険情報(保険者番号、記号・番号、資格取得日など)
 ・公費情報(公費番号、受給者番号、負担者番号など)

②レセプトデータ
 ・カルテ2号用紙の右側(コスト、オーダー)欄の内容
 ・病名データ

ということは、新しい電子カルテにデータ移行した場合下の図のように
 ◯頭書き欄:概ね移行できる
 ◯オーダー/コスト欄:レセプトデータから移行した分のみ反映
 ◯病名:レセプトデータから移行した分のみ反映
 ✖過去カルテ欄のSOAPや所見欄:空欄
 ✖サマリ・特記事項欄:空欄
 ✖過去に取り込んだ文書や画像データ:移行不可
 ✖入力セット項目:作り直し
となることがほとんどです。

データ移行した電子カルテ画面イメージ

そのため、電子カルテ入れ替え後は暫くの間、旧カルテをいつでも参照できる状態にしておくことが重要です。

その他のデータ移行手段

■カルテPDF参照ツール
これは、旧電子カルテから全患者のカルテをPDFで出力し、専用のPDFツールを介して、新電子カルテ上で参照する方法です。
《メリット》
・新電子カルテ端末で参照できるため場所を取らない
・新電子カルテで表示している患者のPDFが自動的に表示される
《デメリット》
・上記同様にサマリ、特記事項、過去検査結果、文書、画像はPDFには出力  されないことが多い(旧電子カルテの参照は必要になる)
・PDFの出力作業が大変(クリニックで行う必要がある)
・そこそこ費用がかかる
 
■特定のメーカー間での移行
これは特定のメーカー間でデータ移行専用ツールが開発されている場合で
上記の移行できない項目が移行可能な場合がある。
各メーカーによく確認する必要がある。

まとめ

電子カルテメーカーを替える場合のデータ移行は制限が多いことに加え、操作の慣れや、細かい機能の有無を細部まで事前に把握することの難しさがあります。
そのストレスや労力よりも、安定性、機能、サポート内容などの優位性が上回るかどうかをよく検討すること。また、メーカー頼みで、「できるだろう」「お願いすれば何とかなる」と楽観的になりすぎないことが、電子カルテメーカー入れ替えの成功の秘訣と言えます。

今後も目利き医ノ助メンバーによる『相談事例』をアップしていきますので多くのドクターの参考になればと思います。

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