見出し画像

『サワークリーム』

2024年4月13日土曜日。大阪市内に住む友人のマンションで前泊をしていた私は、午前7時前に自然と目覚め、身支度を済ませて友人と共に地下鉄と京阪電車を乗り継ぎ、京都市内にあるレバノン料理屋の前に辿り着いた。その場で当日朝に都内からやってきた別の友人と合流し、3人で水色の民家風である建築物に揃って足を踏み入れた。

ひんやりとした石の質感と温もりのある木々の質感が共存した清潔感のある空間に思わずため息が出そうになった私は、黒のエプロンを着こなした30代前半と思われる男性の店員が竹炭のピタパンを皿に盛り付けている様子を横目に見つつ、無垢材の椅子に腰掛けた。女性店員のおすすめにしたがってフムスとチキンのプレートを注文した私は、これから私の目前に提供される料理に期待を抱きつつ、私の頭の中にあるレバノンのイメージを繋ぎ合わせようと、歴史に翻弄されてきた地中海東岸の異国の地に住むカルロスゴーンや、数年前に首都で発生した爆発事故に想いを馳せた。

人生初めてレバノン料理を目にした私は、右手にもったスプーンでフムスとサワークリームを竹炭のピタパンに恐る恐る塗り込み、薄切りされたチキンをパンに挟んだうえで、左手で支えたピタサンドを口に運んだ。酸味とコクのあるソースとしっとりしたスモークチキンの質感を舌で堪能した私は、室内に流れるピアノの旋律に重ねるように咀嚼をし、喉越しを楽しんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?