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【検証試験】日常の出荷判定用テストパックの選定について。市販PCDの選び方は?BIとCIどちらを使うべき?

その回の滅菌が問題なく実施されたかを判定する、出荷判定用テストパック。

医療機関における滅菌保証のガイドライン2021には、出荷判定用テストパックとして「マスター製品と同等以上の滅菌抵抗性を持つPCDに、BIおよび/またはCIを設置して使用する」旨が記載されています。

「市販のPCDは、どうやって選定したらいいの?」
「BIとCI、どっちを使えばいいの?」

そんな疑問を持っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、滅菌抵抗性の異なる複数のPCDや模擬器材に設置したBIとCIの滅菌結果をもとに、出荷判定用テストパックとして「どんなPCDに、BI/CIのどちらを設置したらいいのか?」を考察します。


1. 日常の出荷判定用テストパックとは?

1-1. その回の滅菌が正しく実施されたかを確認する

医療機関では、主に高圧蒸気滅菌器などを用いて、再使用可能な医療器材の滅菌処理を日々行っています。滅菌器で処理した器材が滅菌できているかを確認し、出荷判定(払い出し)の根拠に使用するのが、出荷判定用テストパックです。


1-2. PCDとインジケータ(BIやCI)で構成される

出荷判定用テストパックは、PCD(Process Challenge Device)と、それに設置するBIやCIなどのインジケータで構成されます。

PCDとは、意図的に蒸気浸透性を悪くする抵抗性を持ったデバイスのことを指します。PCDには、積層構造のポーラス型と、内腔構造のホローロード型の2種類があります。

ラパロ鉗子などの内腔器材は、器材の外側よりも内側の方が蒸気が浸透しづらく、滅菌が困難です。一方で、BIやCIなどのインジケータは、それが置かれた場所の情報しか得ることができません。つまり、滅菌が難しい器材内部までの滅菌条件の達成を確認するためには、本来はインジケータを器材内部に入れなくてはいけません。

しかし、物理的にBIやCIを器材内部に挿入することはできません。そのため、器材内部のように滅菌がしづらい環境を疑似的に再現するPCDが必要となるわけです。


1-3. 大前提として、全品検査をすることはできない

出荷判定用テストパックを使用する背景には、滅菌したすべての器材の滅菌可否を確認することはできないという事実があります。滅菌したすべての器材を確認する時間もありませんし、そもそも包装材を開封してしまった時点で、その器材の無菌性は破綻してしまいます。


1-4. 出荷判定は、ワーストケースで考える

そこで、滅菌器のもっとも滅菌しづらい場所(コールドスポット)で、マスター製品よりも滅菌しづらい出荷判定用テストパック(PCDに挿入したBIやCIなどのインジケータ)が合格していれば、全ての器材は滅菌できていると推定します。これが、出荷判定用テストパックによる払い出しの根底にあるワーストケースの考え方です。


2. 出荷判定用テストパックに関するガイドラインの記載

日常の出荷判定用テストパックの選定については、医療現場における滅菌保証のガイドライン2021のP18に記載があります。出荷判定に使用するPCDや、その中に設置するインジケータの選択について記載されています。

2-1. マスター製品と同等以上の滅菌抵抗性があるPCDを使用する

PCDの選択について、ガイドライン2021には以下のように記載されています。

日常の滅菌処理に使用する出荷可否判定用のテストパックは、以下の優先順位で選定する。①マスター製品にBIおよび/またはCIを設置したもの、②マスター製品に特性が似た製品や模擬製品にBIおよび/またはCIを設置したもの、③市販のPCDにBIおよび/またはCIを設置したもの。②または③を使用する時には、これらが①と同等以上の滅菌抵抗性であることの確認が必要である。

市販のPCDを日常の出荷判定に使用する場合は、マスター製品(滅菌する器材の中で最も滅菌しづらいもの)と同等以上の滅菌抵抗性を持ったPCDを選択する必要があります。

つまり、普段滅菌している滅菌物よりも滅菌抵抗性が低いPCDは、日常の出荷判定には使用できないということでもあります。



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