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「あなたの長所は共感力、あなたの短所も共感力」営業課 H・T

その人が大切にしている言葉を知ることで、その人の考え方や生き方に、もっと触れられるかもしれない。「あ、もっと知りたい」そう思う、きっかけになるかもしれない。

そんな想いで始めた、名優で働く人が大切にしている言葉についてインタビューする「a motto(ア モット)」。

第2回は、営業課で働くH・Tの a motto です。


― 大切にしている言葉を教えてください。

大切にしているというか、気づきをもらった言葉なんですけど。

それでもいいですか?


― もちろんです。

前の会社の支店長に頂いた言葉で。

お父さんのような立ち位置で、いつも支えてくれていた方なんですけど(笑)。

私が苦しんでいた時。その方に

あなたの長所は共感力であり、あなたの短所も共感力

という言葉を頂いたんです。


― 共感力が短所。

そうです。

私も、自分の共感力が短所になるなんて、思ったことがなかったんですよ。

就職活動では「幅広い人に共感して、関係性を築くことができる」と、強みとして打ち出していたので(笑)。


出来るだけたくさんの人に合わせられて、その人たちが心地よく過ごしていく付き合い方が楽しいと、ずっと思っていました。

前の仕事は、医療機器ディーラーの営業だったので、お客さんとそういう付き合い方をする方が仕事が上手くいっていたんです。

現場の方が言っていることが正しい、じゃないですけど。

でもこの言葉を頂いた時に、確かにそれが原因で苦しんでいることもあるぞ、と気づかされたんです。


― どんなことで苦しんでいたんでしょうか。

あの人はこう言っている。でも、この人はこう言っている。
そういうことに、振り回されていたというか。

この人の顔色もうかがって、あの人の顔色もうかがってとしていくと、色んなちぐはぐが出てくるじゃないですか。

それで結局、うまくいかないことがあったり。

色んな人に合わせるということを続けていくと、本当の自分がなくなっていくというか。

そんな感覚もあったんです。


― 自分がなくなっていく。

入社したての頃は
「自分の働きかけでお客さんに影響を与えられるディーラーになりたい」
そんな想いがあったんです。

でも、いろんな人に合わせることを続けていくうちに、その想いがどんどん薄れていってしまって…

小さい頃からもともと、波風立てないように、人に合わせてしまうタイプではあるんです。

それが悪いようにフィットしてしまったというか、発揮されたというか。

気にしすぎて、疲れちゃったんです。

自分は何をしたいんだろうって。


― 御用聞き営業みたいな感じでしょうか。

まさに、そうですね。

そうなってしまっている自分が、すごく嫌でした。

自分がいる意味ってなんだろう、って思ってしまいました。


でも今では、例え相手がお客さんであっても、間違ったことを言っていれば正しいことをきちんとお伝えできるようになってきました。

これは、名優の営業が大切にしているスタンスでもあります。

「そうですね」だけ言ってたら、うちの製品は売れないですからね(笑)。


― 人がある言葉を思い出すのには、何か理由がある気がします。今回この言葉を選んだのは、何故だと思いますか?

思い出したというよりは、最近、毎日思っているような気がします。

営業を上手く進めるために、お客さんのために、やらなきゃいけないというか。

特に最近は、まったく取引実績がない新規のお客様にお会いすることが多くて。正しい情報が届いていなかったり、誤った知識を持っているお客さんも多いんです。

だから自然と、そういう機会が増えているんだと思います。


― それに疲れてしまうことはないですか?

もともとの性格が人に合わせてしまう気質なので…まったく疲れない、ということはないです(笑)。

意識しないと、楽な方に流れてしまうと思います。

お客さんが欲しいと言っているものを提供する方が簡単ですし、踏み込んだ提案をするには、少し勇気も必要なので。

お客さんはAが欲しいと言っているけど、「まずやるべきはAではなく、Bです」と言わなくてはいけないことも多々あるので。


― それでも伝え続けるのはなぜでしょう。

自分の考えをきちんと伝えることで、お客さんに信頼してもらえる。
その結果、提案が広がるし、上手く進んでいく。
そしてそれが、お客さんのためにもなっている。

そういう経験を、積み上げることができたのは大きいと思います。
そこに、自分のやりがいも感じていますし。

今では、前よりもナチュラルにできるようになってきたと思います。


そしてなにより、お客さん(医療従事者)の先には患者さんがいるので。

患者さんの安全を考えると、正しくないことに「そうですね」とは言えませんよね。

患者さんのために、自分が正しいことを伝え続けないといけない。

そういう、正義感もあると思います。



(聞き手:優一)

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