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中央材料室のインタビュー「再生処理の現場」を10回やってみての簡単な振り返り

こんにちは!社長室の優一です。

名優の中央材料室向けブランド『SALWAY』をローンチしてから、早いもので1年が経ちました。

SALWAYでは、医療器材の再生処理(洗浄・滅菌)に真摯に取り組む方にスポットを当てたインタビュー企画「再生処理の現場」を運営しています。先日、第10回を迎えました。

10回の節目ということで、これまでのインタビュー運営を簡単に振り返ってみたいと思います。


インタビューを始めたきっかけ

皆さんは、病院などの医療機関に「中央材料室」という部署があるのをご存じでしょうか?

おそらく、ほとんどの方は知らないんじゃないかと思います。病院のフロアマップをみても、中央材料室は載っていないことが多いんです。お恥ずかしい話ですが、私も名優に入社するまでは、その存在を知りませんでした。6年以上、医療業界に携わっていたのに。。。

手術や診療で使用される医療機器は、単回使用(使い捨て)のものだけではありません。次の患者さんに再使用するものも多くあります。誰かの手術に使用した器材を、他の患者さんにも使用するということです。

再使用する医療機器は、次の患者さんにも安全に使用できるように、再生処理(洗浄・滅菌)されます。この再生処理を担っているのが、中央材料室です。

再生処理は、患者さんの安全に関わる極めて重要な業務です。そもそも使用する器材が安全でなければ、どれだけ医師の腕が良くても、安全な手術を行うことはできません。

しかし、残念なことに、日本ではその重要性は認知されていないのが現状です。また日本の再生処理は、欧州と比較して20年も遅れていると言われています。

再生処理に真摯に取り組む方にスポットを当てて、少しでも多くの方にその重要性を知って頂きたい。これが、インタビューを始めたきっかけです。


「再生処理の現場」はユーザーインタビューではない

他社にも、お客様へのインタビューを実施している企業はあります。しかし、それらは「自社製品を使ってみてどうでしたか?」といった、いわゆるユーザーインタビューであることがほとんどです。

SALWAYの「再生処理の現場」は、いわゆるユーザーインタビューではありません。自社製品を紹介することではなく、再生処理の重要性を伝えることが目的です。なので、あくまで「人」にフォーカスすることを大切にしています。

その方のこれまでの歩みや、再生処理に真摯に取り組むようになったきっかけ。今課題に感じていることや、これから取り組みたいと思っていることなど。そういったことをインタビューの中で引き出すようにしています。

このインタビュー記事を読むことで、中央材料室で働いている方が「再生処理ってやっぱり面白い」「この人を目指して頑張ろう」と思う。再生処理や中央材料室を知らなかった方に「再生処理って大事だな」って思って頂く。

そんなインタビューを目指して、運営をしています。

個人的には、これまで全く中央材料室を知らなかった方が「自分も中央材料室で働きたい」と思ってくれるような。中央材料室が憧れの職場になる世界にしたいなと思っています。


インタビューの反響

有難いことに、インタビュー記事を発信するたびに、お客様から嬉しい反響をたくさん頂いています。

先日、とある滅菌関連企業の社長さんにお会いした時に「インタビュー、毎回となりの社員と楽しく読んでます」と言って頂きました。社員と一緒に読んでいるんだと思いましたが(笑)、なんだかとても嬉しくなりました。

最近では、業界関係者ではない一般の方からも、少しづつ反響を頂けるようになりました。「これまで全く再生処理について知らなかったけど、再生処理の大切さやそれに真摯に向き合う人がいることを知れてよかった」そんなメッセージを頂けるようになり、大変嬉しく思います。

一般の方にも再生処理・中央材料室をもっと知って頂けるように、これから様々な取り組みをしていきたいと思っています。

また個人的に一番嬉しかった反響は、インタビューを受けてくれたある方が病院から正しく評価されるようになった事。

詳細はお話しできないのですが。簡単に言うと、病院の経営層がインタビュー記事を読んでくださり、その方の頑張りが評価され昇進されたという話です(ざっくりですみません)。


個人的名言集(vol.1~10)

ここでは、これまでのインタビューの中で、個人的に好き・大切にしたいと思う言葉をまとめてみました。

気になった記事があれば、是非読んでみてください!

日本でも病院を選ぶ際の評価基準のひとつとして、患者さん自身が再生処理について調べるようになれば、病院側の対応がより早まることも期待できます。

vol.1 東京医科歯科大学 久保田英雄先生


私たちがやっている医療は科学的でなければならないので、今日やっていることが明日も問題ないのかということを常に検証することも、治療と同じように、患者さんに対して果たさなくてはならない責任だと思います。

vol.2 有限会社ハグクリエイション 柏井伸子さん


安全な滅菌供給業務は、中材だけが頑張っていてもダメで、関連する部署との理解と連携・協力の上に成り立つものであり、関連部署の無理解・無関心が安全の障壁となります。

vol.3 越谷市立病院 酒井大志さん


「再生処理を担当しているのは君なんだから、君が自分の仕事に自信を持たないと、患者さんは感染する可能性がある。なにをためらう必要があるんだ」

vol.4 北原国際病院 山本さおりさん


患者さんの立場からすれば、中材についてご存じないとしても、医療器具の感染対策は実施されていてあたりまえのものだと感じられるはずです。そのあたりまえを各施設で実行できるようにすることが、これからの私たちの課題だと思います。

vol.5 菅整形外科病院 中田明彦さん


たとえばこれから進路を決めていく高校生などを対象に、医療業界にはこんな仕事もあるんだというお話ができる機会があれば、是非呼んでいただきたいなと考えています。

vol.6 済生会中津病院 平松治さん


自分の施設だけじゃなく、実際に困っている病院やクリニックがたくさんあると思ったので、D判定でも恥ずかしくないということを示したかったんです。悪い判定が出たことよりも、そのまま何もしなかったせいで感染が起きてしまうことの方が恥ずかしいので。

vol.7 愛知県医療療育総合センター中央病院 桑山祐樹さん


「僕らがやっている仕事は縁の下だからね」と言うんです。だって、ここに入るまで中央材料室のことを知らなかったでしょう?と。でも、どこの病院にも中央材料室はあって、機能しなくなってしまったら病院の診療やオペはすべて止まってしまう。

vol.8 エムシーサービス株式会社 小濱真さん


アメリカやヨーロッパでは、患者に使用する滅菌物の品質を保証する仕組みや制度があるのに、なぜ日本にはないのか、現場から疑問を投げかけはじめたということです。

vol.9 榊原記念病院 小林誠さん


医者の腕と、滅菌された器材と、手術室の看護師と、患者さん自身の存在がいて、そのどれかひとつでも欠けたらあかんくて、すべてが円になっていることが一番大事なので。

vol.10 代官山アイクリニック 岡本亜美さん


これからの「再生処理の現場」

再生処理・中央材料室には、現場で再生処理業務をされる方以外にも、さまざまなステークホルダーがいます。

滅菌器や洗浄器のメーカー、再生処理業務を代行する滅菌受託企業、各種インジケータのメーカーなど。

これからは、いろんな視点から再生処理をみるために、滅菌器メーカーの方などにもインタビューしていきたいと思っています。「再生処理に真摯に取り組む人」という軸はぶらさずに。

今月中には、Vol.11の記事も公開予定です。

これからも「再生処理の現場」をよろしくお願いします!

優一

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