ここが私のアナザースカイ、台湾
「ここに行けば、会えるかもしれない。」
大学生だった当時、ドラマに出演している俳優に一目惚れした私。「会えなくてもいい。せめて同じ空気を吸いたい。」数カ月後には海を越えていた。その時の私は知る由もない。俳優よりもこの国に惚れこみ,20回以上も 訪れることになるなんて。
「台湾の魅力は?」と聞かれたら、私は「人」を1番に挙げる。彼らの面倒見の良さに何度も助けてもらった。
龍山寺にお参りしたときのこと。入口で赤い線香を7本もらい本殿から順番に回ろうとしていた。(寺には7つの廟があり、1本ずつお供えする)。ぎこちない私を見て、隣にいた女性が「こうするんだよ」と教えてくれた。そしていきなり私の右頬をハンカチで拭きはじめた。びっくりしている私に、「汚れてるよ」と手鏡に映して見せてくれた。寺院の中心で顔をこすられる。恥ずかしいけど、大人しくとってもらった。
「おみくじはひいた?」と彼女が聞いた。日本と違って、台湾ではおみくじをひく前に神様の許可が必要。赤い石を2つ同時に投げる。石には表と裏があり、表が2つ揃うと成功。「引いてよし」という神様からのOKサイン。ドキドキして投げると表が2つ、成功だった。顔を上げると、私よりも彼女の方が喜んでいた。おみくじの内容は忘れたけど、 まるで自分ごとのように嬉しそうな彼女の姿に思わず笑ってしまったのは覚えている。
現地の人と交わした言葉や助けられたことは私の中にずっと残っていて、思い返してはじんわりと温かい気持ちにしてくれる。世話好きな人が多いこの国で、私と同じような体験をした人の話をよく聞く。今夏、4年ぶりに台湾へ訪れる。懐かしい八角の香り、抜けるような青空に「ただいま」を言おう。
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