見出し画像

敏感と鈍感の使い分け

 元就活生でLGBTQ+の方々の体験談から、自分らしさを表現できる就職活動について考えたいと思います。
(中略)
 LGBTQ+の就活生の70%がセクシュアリティを伝えたくない理由に、「差別・ハラスメントへの恐れ」を挙げています。
         https://pantene.jp/ja-jp/hair-we-go/pride-hair 

 昨日、YouTubeで偶然、パンテーンのCM動画を見た。LGBTQ+である出演者の方が、就活時に悩んだ過程と、一歩を踏み出してよかった経験について話している。出演しているお二人とも、背筋が伸びていてキリっとカッコよかった。

 そして、P&Gのような大企業が、このようにメッセージ性のある情報発信をしていることに、大きなエネルギーを感じた。個人の立場や考え方の多様性を認められる、寛容な社会につながっていく気がする。

***

 数日前、私は仕事で、ある分野でマイノリティに属する方と話をする機会があった。相手に失礼のないようにしたくて、そのマイノリティについて事前に勉強し、当日も私にできる最大限の注意を払って言葉を選んだ。

 仕事に必要な情報交換は行えたので、それで十分なのかもしれない。しかし相手は、「私たちは本当に辛くて、大変なのですよ」と会話を締めくくった。相手の抱える痛みには、私の想像力は不十分だったのだろうと思う。

 仕事そのものが終了しても、私の心には課題が残った。マイノリティの立場にある人と接する時のために、私はもっと知識を増やし、想像力の幅を広げたい。そのために、冒頭で引用したパンテーンのCMのような情報に触れた時にはよく見聞きして、自分の立場に置き換えて考えていく。

 他者の痛みに、もっと敏感でありたい。私の無知で、人を傷つけたり、ため息をつかせたりしないために。

 そして一方で、自分の痛みには、鈍感力を身につけて対処できたらいいな、と思っている。私は子どもの頃から、集団の中で少数派に属することも少なくない。なぜ多数派に属さないのか、なぜ「標準」を望まないのか、問われたこともたくさんある。

 「なぜあなたは、休み時間にみんなと校庭でドッヂボールをしないで、本を読んでいるのか」と小学生時代に何度も聞かれた。大人になってからも、「まだ結婚しないの?」「子どもを産まないの?」「管理職をめざないの?」と、私が「標準」と違う点について、度々問われてきた。

 誰かから言われた言葉に、私は真剣に傷ついたり、怒ったり、必死で感情を落ち着けようとしたりする。でも、相手は、何気なく言葉を発している場合も多い。単に私のことをよく知らないだけで、100%の悪意を私に向けて発言していることは少ない。

 他者の痛みにもっと敏感になりつつ、自分が痛みを感じるセンサーは鈍化させて、寛容を目指せたらいいなと思っている。