7. サボり魔

どうも、江原茗一です。

今回は特にお知らせはありません。特にお知らせがないのであれば書く必要が無いし、誰も読まないかもしれないが、私は自分と約束した「月4〜5本はブログを更新する」を、今の所忠実に守ろうとしている。これも仕事の一環。
ここで一つ告白をしたい。以前も話題に出したPOPEYEの連載記事の最終回で、私は『10年メモ』という10年分の日記が書ける分厚いノートを買い、これからつけていくのだと意気揚々語ったのだが、はっきり言ってもう半年程も記録をつけていない。ダサすぎる。
もっと言うと、実は開始して一ヶ月も経たぬうちに「あ、今日も忘れた」「あ、三日は書いていないな」「ちくしょう、一週間分書かねば」「二日前していたことが思い出せん……」と言う具合にどんどん駄目な方向へ進んでいき、そして忘れ去った。
いや、忘れ去ったというのは嘘。時々後ろめたい気持ちを思い出しては、逃亡犯のような心境になっていた。一方で「10年分もあるのだから、別に書いていない時があっても良いんじゃないか」という気持ちがある。私らしいなと思う。

最近、テレビでベネッセこどもちゃれんじのCMをよく目にする。大きな段ボールにオリジナルの液晶画面付き学習装置やしまじろうのぬいぐるみが入っていて、子供が楽しそうに勉強をして、お母さんが喜んでいる。クリスマスツリーの下に教材が並べられた映像だ。勉強嫌いの子供からしたら悪夢みたい。
私も幼少期、ベネッセの進研ゼミに加入していた。私はとにかく学校の宿題もろくにやらず、催促されても頑なに提出しないような、先生にしてみれば最悪最低の怠惰な生徒であったので、もちろん加入している進研ゼミも全くやらなかった。学習机のサイドチェスト、一番下の大きな引き出しに、未開封の進研ゼミをいくつも溜め込んでいた。一体何度親に激怒されただろうか。その時にも一応後ろめたさはあって、いつ手をつけていないことについて話を切り出されるか、びくびくしていた。びくびくするならやれば良いのだが、やらなかった。勝手に決められたことをやらねばならんのがとにかく嫌だったのだ。
公文に加入させられたこともあった。公文にも行きたくないので無断でサボり、とりあえず暇なのでチャリンコに乗って学校の校庭をぐるぐる回って時間を潰していた。
今考えると、サボってもバレないと思っているところはピュアで可愛い。

私も最近使えるようにしてもらったのだが、音楽サブスクのSpotifyには「For Artist」というサブスクに曲を公開しているミュージシャン専用のサービスがある。アプリもあり、それを見ていると自分の音楽が世界のどの国で一番再生されているかだとか、特定の曲を今聴いている人がリアルタイムで何人いるのかなどが一目瞭然でわかるようになっている。
これまで鼻ほじ呑気にサボりつつ生きてきたが(あんな幼少期を経て)、やりたいことを見つけて、全然稼げてはいないにしても音楽はできる限り頑張ってきたつもりなので、「For Artist」でデータを見ていたら少しだけ嬉しくなった。まあ世界基準で見た数字で言えば全くダメダメなのでしょうが、少なくとも今この瞬間に自分の音楽を聴いている人がどっかいるのだと思うと不思議な気分で、それはとても喜ばしい。
サブスクが登場した頃はやはりレコードやCDなどの物質が好きなので「こんなもんはけしからん!」と思っていたけれど、今では私もすっかりしっかり利用しているし、データがリアルタイムに集計されるなんて、なんだかすごい時代になったのだなと思った。

最近あまり読書していない。短歌集以外で最後に本を買ったのがいつだか思い出せない。ブログの記事のリクエストに本関連のものが多かったのだが、それで本当に読書できていないことに気が付いた。
と思ったらAmazonから本が届いていた。上田信治さんの『成分表』という本だった。「なんで買ったんだっけ……?」としばらく考え込んで、豪文さん(キセル兄)におすすめされてポチったことを思い出した。酔っ払って注文したので完全に忘れていた。
飲みの席でのAmazonは危険だ。前にも気がついたら手塚治虫『ブッダ全巻BOX』を注文していたことがある。なんだかすごい時代のせいでこういうやらかしも起きる。(『ブッダ』良かったけれど)
上田信治さんの『成分表』を豪文さんがおすすめしてくれた理由を忘れてしまったのだが、そういえば豪文さんはスズキナオさんにおすすめされたと言うような話をしていた気がする。ナオさんから豪文さん、そして私へ。「つまり、飲酒についての本なのか……?」と思いつつ開いてみると、収録されているのは短いエッセイの集まりだった。とても日常的な内容を交え面白可笑しくも、知的で大変ためになりそうな思索が綴られており、超爽やかな本だった。か弱いものや動物に関する文章も、対等で優しさに溢れていて良い。保坂和志氏の帯コメント「小さい物を見ているときも、足元にある物をみているときも、上田さんの心はつねに高い空やそのまた先にある天体を仰ぎ見ている。愛や勇気や生きるモラルがこの本を貫いている。」がぴったりだと思った。
上田さんは漫画『あたしンち』の作者えらけいこ氏の夫さんで、『あたしンち』の共作者なのだそう。なんだか納得した。
とても好きな内容だったので一気に全部読んでしまうのはもったいない気がして半分くらいで止めてある。制作の休憩時間にちょっとづつ読むことにする。

ちょっと最近ギターとベースと鍵盤の弾きすぎなのか手首が腱鞘炎気味だ。パソコンに向かうのを休憩して、インプットタイムで読書をしても良いのかもしれない。読みたいものは色々とある。観たい映画もある。
凄いのが、こうやって音楽制作以外のことをしても良いんじゃないかと考えている時、「いや、それでもやらないと」と思うのである。あんなに色々なことをサボってきた人生なのに。
「よりによって音楽なんて、大変なものを選択したな」と思いつつ、「何かが見つかって良かったじゃん」とチャリンコで校庭をぐるぐる回っていた当時の自分に言ってやりたいものだ。

まだまだ色々ありそうだけれど、今年は特に濃い一年だったから、この先絶対に忘れたくないことも多い。良いことってどうしてどんどん記憶から薄れていってしまうんだろう。悪いことばかり鮮明に残る。言ったことややったことをいつまでも後悔するタイプの人間なので尚更悪いことがしぶとく記憶に残る。
『10年メモ』どうしようかな。元旦から書くか〜。

私の大好きなLINEスタンプ。これをアー写にしたいくらいだ

江原


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