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きらめき

好きなアーティストを聴かれてうまく答えられないのは昔からなのだけど、前の私は、この人が知らない私の大好きで大切な音楽を口にして適当にあしらわれるのが嫌だったから口に出さなかった。でも今はどれが一番大好きなのか大大大好きなものが咄嗟に浮かばない。大好きなバンドはもうほとんど解散した。新しい音楽も耳にするけど、あのころの大好きとは絶対的に違う。音に縋っていた、あのライブのためにそこまで生きていようと本気で思っていた頃とは。

みんなの普通のように働いて生活をするため、音楽を本気で好きでいるのをやめたんだと無理やり肯定したりした。前の職場は希望休がほとんど取れなかった。
それでも少し満たされたのかもしれない、なにもなくてスカスカでうれしくて悲しい私の出来上がり。

でもずっと心の内には、現実のことは何もかも忘れてしまうほど熱中させてくれる音を求めている。どうしようもなく惹かれてしまうような。

だけど私には希望があって、彼も彼も彼女も歌っているし、今も音楽を作っている。

それは紛れもなく、わたしのひかりだ。
お願いだからずっとずっとひかっていて。
たまらない夜にそっと隣で。
たまに足を運んでしあわせに包まれる夜を幾度となくください。