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【人生リセットボタン】kemu楽曲の物語を改めて考察してみる【10周年】

初めまして。夢結(@Mei_yumeyui)といいます。よろしくお願いします。

サムネイルは「人生リセットボタン」3:52辺りのスクリーンショットを使わせていただきました。

企画概要はこちら

【GUMI】 人生リセットボタン 【オリジナル曲・PV付】

【HD】 人生リセットボタン 【GUMIオリジナル曲・PV付】- KEMU VOXX

「少年は潔癖でありたかった」 - 動画説明文より
「やりなおしたり」- マイリストコメントより

記念すべき1作目です。
まず、動画説明文から主人公は潔癖だということがわかります。物語はかなりシンプルな気がしますが、できるだけ歌詞に沿いつつ、かいつまんでいきたいと思います。

目が覚めたら 人生リセットボタンが そこに転がってた
目眩 目眩 象る 念願の 強くてニューゲーム

歌い出しの強烈な一文は、歌詞のまま受け取って良いと思います。
強くてニューゲームとは、RPGなどでクリア後にプレイヤーのステータスを引き継いだ状態でゲームをはじめから行うことです。人生リセットボタンの、記憶を引き継いで時間をさかのぼれる効果を言い表したものだと考えられます。
また、念願という言葉から、人生リセットボタンは主人公が望んでいたものだったということが分かります。

ネコちゃんワンちゃん出ておいで 明日は素敵な参観日
無敵の天才神童は中二で朽ち果てた

記憶を引き継いで時間をさかのぼれるということは、予め未来を把握しているようなものです。自分の知っている通りに行動する他人を、人間ではなく犬や猫といった動物だと見下しているのでしょうか。内容を知っているので参観日も当然良い顔ができるでしょう。
こうして傍から見れば全知にも等しい天才神童となった主人公ですが、その潔癖さゆえに些細なことでもリセットを繰り返してしまい、中学二年生から先に時間が進まなくなっちゃったんでしょうね...

ダメダメこんな人生 累計これまで何百年?
ネバーランドの囚人に 課された極上の終身刑
ショート寸前カイバ先生 掻き毟った手を睨め
どうせどうせ やり直し 人生リセットボタン

潔癖ゆえになかなか満足のいく人生を送ることができず、こんな人生はダメだとリセットを繰り返し続けます。
ネバーランドは『ピーター・パン』において、住むと年を取らなくなる国として登場します。二行目は、中学二年生という時間に囚われながら、潔癖ゆえに死ぬまでリセットを繰り返さねばならないという状況を言い表しています。
カイバ先生とは、脳において記憶に関する器官である海馬のことでしょう。リセットしても記憶は引き継がれるため、実時間に対して詰め込まれる大量の記憶に海馬が次第に耐えられなくなっているようです。
そんな海馬から気をそらし、痛みで意識を保つために手を掻き毟っているんじゃないでしょうか。PV中にはカッターやはさみも登場するので、自傷行為をしているのかもしれません。

目が覚めたら 人生リセットボタンが そこに転がってた
ほらほら 盲目 甘い汁 冗談はほどほどに

最初の歌詞の繰り返しですが、もしかして人生リセットボタンを手に入れる瞬間まで巻き戻しちゃいました?
二行目に関しては「冗談と甘い汁はほどほどに」という類似した歌詞が「カミサマネジマキ」にも登場します。

愛想も怨嗟も過食気味 加減を知らないボキャブラリ
三千回目の告白も『タイプじゃないんです』

ここで、リセットしても変えられない現実に直面します。あらゆる語彙を尽くし、三千回告白をしても良い返事は貰えなかったようです。

ダメダメこんな人生 累計これまで何千年?
ネバーランドの囚人も 昔は確かに笑えたんだ     
ワープ寸前カイバ先生 先回って受け止めて
どうせどうせ やり直し 人生リセットボタン

2サビはほぼ1サビと同じ内容ですね。

ブラフの上にも三千年 その手に乗るかと三億年
将来の夢は何だっけ? わばばばばばば

騙されないぞ、その手には乗らないぞとリセットを繰り返し、将来の夢すらも思い出せなくなるほど海馬が圧迫され、主人公は次第には壊れていきます。

ダメダメ そんな人生 耳鳴りが 邪魔するんだ
ああ、誰かしらそうやって 叱ってくれればよかったんだ

耳鳴りは9曲中5曲に入っている頻出ワードです。今までは「ダメダメこんな人生」と自身の台詞だったのに対して、ここだけは「ダメダメそんな人生」と他の誰かに指摘されています。すぐ後の誰かが叱ってくれれば~にも繋がりますね。
この主人公を叱った耳鳴りの正体が何なのかは色々考えられますが、私はカイバ先生だと思っています。ラスサビではカイバ先生に語りかけているような歌詞がありますし、記憶量に耐えられなくなった海馬側からついにストップがかけられたのではないでしょうか。

ダメダメ こんな人生 累計これまで何兆年?
寒い寒い 近寄んないで 答えが喉まで来ているんだ
カイバ先生カイバ先生 掻き毟った手の中に
見っけちゃった 見っけちゃった

先の耳鳴りに対する解答を必死に考えている様子が見て取れます。

六兆五千三百十二万四千七百十年の
果て 果てに飛び込んだんだ 午前5時始発の終着点
カイバ先生カイバ先生 僕のいない世界こそ
きっときっと答えと 思ったが どうでしょうね?

六兆五千三百十二万四千七百十年は主人公が実際に体験した年数でしょう。実時間としては中二から一切進んでいない訳ですが...
そんな人生はダメだと言ってきた海馬に対して主人公が出した解答は、自らの命を絶つことだったようです。手段は飛び込み自殺。

余談になりますが、六兆~のところは表記揺れが激しく、以下のようになっています。多分どっちでも良いんだと思います。
算用数字→PV、PANDORA VOXX、PANDORA VOXX complete
漢数字→piapro、create voxx、PANDORA VOXX REBOOT、カラオケ(JOYSOUND)

ところで

終いには駅のホームで飛び込みをはかり、何もかも終わらせようとはしますが、彼をずっと翻弄してきた性悪な奇跡が、そんなズルを許さないような気もします。- 「create voxx」より

create voxxでは飛び込み自殺に失敗した可能性が示されています。わざわざこう書いてあるくらいなので失敗したんでしょうね...
そもそも、六兆年もリセットを繰り返すような人間が、自分の死を目の前にしてリセットボタンを押さないなんて選択肢を取れるのでしょうか。それはもう手癖で押しますよきっと。ただ、その場合には海馬がショートかワープかするので結末はどちらにせよ悲惨ですね。

まとめ

起:念願の人生リセットボタンを手に入れる
承:潔癖ゆえに完璧を求めてリセットを繰り返す
転:記憶量の限界を迎える
結:飛び込み自殺を図る(どうなったかは不明)

お付き合いいただきありがとうございました。
次回「インビジブル」でまたお会いしましょう。

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