【イカサマライフゲイム】kemu楽曲の物語を改めて考察してみる【10周年】
三度目まして。夢結(@Mei_yumeyui)といいます。よろしくお願いします。
サムネイルは「イカサマライフゲイム」4:09辺りのスクリーンショットを使わせていただきました。
企画概要はこちら。
【GUMI】 イカサマライフゲイム 【オリジナル・PV付】
【HD】 イカサマライフゲイム 【GUMI】 - KEMU VOXX
「少年は平穏に暮らしたかった」 - 動画説明文より
「みえるようになったり」- マイリストコメントより
3作目です。KEMU VOXXオリジナルキャラクターのマキちゃんが初登場です。
余談ですが、このシリーズの小説に手を出してみたいという方は、「イカサマライフゲイム」がおすすめです。個人の感想ですが、4冊の中で一番完成度が高くて面白いです。著者が本当にKEMU VOXXが大好きなのが伝わってきましたし、未投稿曲との関連ポイントまで拾ってくれているのがとても良かったです。
閑話休題。冒頭では「インビジブル」「人生リセットボタン」が雨音に紛れて流れています。
『』が未来予知の内容ですね。明日の午後雨が降るというお告げを受け、一切予報されていなかったにわか雨が降ったことで、主人公は未来予知の奇跡を得たことを知ります。耳鳴り、啓示とあるので予知は脳内に直接送られてくるタイプなのかな。PV的には携帯に送られてくるタイプかも?未来日記的な...
その能力で危険を避け、動画説明文のように平穏な暮らしを手に入れたようです。
ジョーカーとはトランプのジョーカーですね。後で「札を引いた」「ババ抜き」という歌詞も出てきますし、マキちゃんが耳に付けているアクセサリーはダイヤとハートで、極めつけにはジョーカーのカードを持ってます。
未来予知能力があるため、可能性とか希望とかは主人公には意味を為さなくなりました。
デートに行くなという予知、結構恐ろしいですね。事故が起こるからバスに乗るなという予知を経験しているので、命令形の予知に不穏さを感じるのも無理はありません。それを抑え込んで札を引き、僕がそれを選んだとあります。デートに行くことで自分に降りかかるはずだった災厄を、未来予知によって回避したわけです。ババ抜きで自分が本来引くはずだったジョーカーを、イカサマによって違うカードに変えたということですね。
ここがこの曲で一番解釈が分かれるところだと思います。
ホームから足を滑らせるという描写からは人生リセットボタンの主人公の最期を想起させられます。また、この箇所では人生リセットボタンのメロディも使用されているので、関連があることは間違いないです。
このことから、あの子=人生リセットボタンの主人公という解釈もしばしばみられますが、私はそうではないと思っています。
なぜなら、人生リセットボタンの主人公が投身自殺を図ったのは、「午前5時始発」だからです。これを「帰りのホーム」とするのは流石に無理があります。大人ならありえなくはないかもしれませんが、人生リセットボタンの主人公は参観日のある中学二年生ですので...
私の解釈では、あの子=デート相手です。未来予知によってデートに行かなかった主人公ですが、本来主人公に起こるはずだった良くないことはどうなるのでしょうか?
これはババ抜きです。主人公がジョーカーをイカサマで回避しても、誰かは引くことになります。そしてそれがデート相手だったという解釈です。『あの子は独りで』の部分が予知としての『』で表現されているのは、主人公がデートに行かなかったことで発生した事象であることを強調する、予知側のからかいのように感じます。この予知、どうがんばっちゃっても~とか馬鹿にしてきますから...
この場合、人生リセットボタンのメロが使われていることはどう説明しましょう。これは仮説ですが、kemuキューブによる奇跡を得た人物は、量に差異はあれど記憶が継承されていると私は考えています。詳しくは最終週の時系列についての記事で述べますが、冒頭に過去の2曲が流れていたり、PV中にもその動画が用いられていたりするのは、これが原因なんじゃないでしょうか。「インビジブル」目線でも「リセットは別の話」です。
そして、デート相手が駅のホームから足を滑らせたことを知った主人公は、何故か頭の中に存在している、人生リセットボタンの主人公の投身自殺の記憶を重ね合わせてしまったのではないでしょうか。人間がホームから落ちたという共通点は、フラッシュバックを起こすには十分です。それゆえに、ここには人生リセットボタンのメロが挿入されているのだと私は考えています。
未来予知によって、主人公にとってはすべてが分かり切っていることなので、驚きや不安などの感情になることは無いはずです。
先のデートの件で、自分が未来予知によって回避した災難は、他の誰かに降りかかるという代償に気づきます。今後主人公はその罪悪感に苛まれながら、それでも自身の不幸を回避するために、未来予知によって誰かを犠牲にし続けなければならないというジレンマに陥ります。
ここにも人生リセットボタンとインビジブルのPVが使われていますね。
そして、回避不可能な死が予知されます。
いくらジョーカーを他人に押し付けて後回しにしていても、いつかは自分が引かねばならない時がやってきます。
未来予知があるゆえに失われていた感情は、回避不可の死を前にすることで蘇ったようです。最後に、予知を持ち合わせていない一般人として明日の可能性に思いをはせます。
ストーリーとしてはとてもシンプルですね。残る疑問は、どうして予知能力をもってしても回避することのできない死が訪れたのかということです。
これに関しては未投稿曲「ぼくらの報復政策」にヒントがありそうです。この記事はあくまで「イカサマライフゲイム」の記事なので詳しくは語りませんが、気になる人は是非聞いてみてください。「PANDORA VOXX」および「PANDORA VOXX complete」には、投稿作品と同様にhatsuko氏とke-sanβ氏によるPVが収録されており、コンピアルバム「IA/01 -BIRTH-」には、カゲロウプロジェクトでお馴染みのしづ氏によるショートPVが収録されています。
最後に、その曲から一文を引用させていただいて終わりにしたいと思います。
まとめ
起:未来予知を手に入れる
承:予知能力で自身の危険を回避する
転:予知能力の代償を知る
結:回避不可能な死が予知される
お付き合いいただきありがとうございました。
次回「六兆年と一夜物語」でまたお会いしましょう。
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