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映画『イン・ハー・シューズ』(2005)の感想

映画『イン・ハー・シューズ(原題:In Her Shoes)』を観た。

監督はカーティス・ハンソン、脚本はスザンナ・グラント、出演はキャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーンで、2005年製作、131分のアメリカ映画だ。

キャメロン・ディアスが演じるマギーは無職で行き詰っており、弁護士の姉ローズのアパートに押しかけ、寝泊まりするようにする。それだけでなく、姉の恋人を寝取ってしまうところから、物語はスタートする。

はじめてこの映画を観たとき、わたしはまだ若かった。モテない、それほどイケていない弁護士の姉と、モテモテで美しい妹が、対立しつつも、互いを理解をしていく物語で、よい話だと思っていた。

今、観ると、正直、妹のマギーのことが心配でならない。彼女には識字障害があり、文字を読むのに時間がかかる。文字の認識、情報処理が極端に遅いというのは、就労するうえで、大きなハンディだ。それを理由に彼女は何度も失業していることがストーリー中で描写もされている。

姉のローズはモテないといっても、弁護士である。仕事はいくらでもあるだろうし、年を取っても、どこかしらに働き口は見つけられるはずだ。一方のマギーは、金持ち向けの老人ホームで、おばあちゃんたちのファッションコーディネーターをしているが、長続きする仕事だとは思えない。マギーにはもっとサポートが必要なのでは? と少しイライラしながら見てしまった。

キャメロン・ディアスは、キラキラしていて、可愛い人だけれど、だからといって、放っておいていいわけではない。

ラストは、姉のローズの結婚式で終わるのだが、それでハッピーエンドとは思えなかった。姉のローズは妹に傷つけられながらも、最終的にはすべてを手に入れているではないか。そして、弁護士だから、仮に離婚をしても、何も問題ない。だから、この結末が、今のわたしにはとても残酷に見える。

もっと、マギーを早い段階でケアしてあげられればよかったと。でも、お母さんにもいろいろあったから、できなかったのだろう、と考えると余計に切なくなる。そんな映画だった。

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