映画『由宇子の天秤』(2021)の感想
『由宇子の天秤』を映画館で観てきた。監督の春本雄二郎さんが脚本も担当されている。
この映画は152分で、かなりの長尺なのだけれど、中だるみはなく、あっという間に終わった。
正直なところ、後味が悪い。疲れた。
主人公の由宇子のふるまいが、ちょっと自分に似ていて、嫌な気分になった。
身に覚えのある自己保身。
ここで、この人に親切にしておいたら、優しくしておけば、あとあと、役に立つかもしれない。失敗したときに、責められることを回避できるかもしれない。
仕事をスムーズに進めるための善意に見せかけた行動のことを思い出した。
彼女の計算ずくの行動と身の守り方に既視感があり、ものすごく気分が悪くなった。それは自分によく似ているからで、ゆっこは悪くないのよ。
ラストの彼女の決断は「この世界は信じるに足る」という監督からのメッセージにも思えた。
いやはや、すごい映画だった。鑑賞後、足がふらついて、夕飯がなかなか食べられなかった。
片渕須直さんもプロデューサーとして参加されている。
そして、主演の瀧内公美さんと、もう一人の主人公である河合優実さんの二人は、これからの日本映画の真ん中に立ち続ける女優さんになるのではないかと思わせてくれた。
ぜひ、映画館で、その瞬間に、立ち会っていただきたいと思う。
追記(2021年10月16日)
春本監督より、リプライをいただけました。うれしかったので、リンクを貼りつけておきます。
(感想がすぐさま、本人に届くなんて、本当に恐ろしい時代だよ)
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