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マスクを外して気付いたこと

コロナ禍前、わたしはマスクをしない人間だった。マスクをしていると失礼にあたると考え、マスクを買ったこともなかった。花粉症がひどいときは、ハンカチを片手に過ごして、くしゃみをするときは顔を覆うようにしていた。

ところが、2020年2月頃から、職場ではマスクの着用が命じられ、2023年4月まではマスクは着用して当然という空気だった。この3年間、マスクがデフォルトの日々であった。

コロナ感染ももちろん恐ろしかったが、それより後遺症のブレインフォグなどの方が怖かったのでマスク着用を心がけていた。

コロナウィルスが5類扱いになったとはいえ、オミクロンウィルスは別に弱毒化はしておらず、第9波も来ていると言われている。だから、マスクはし続けたほうがいいのだが、外は暑い。マスクをしていると息苦しい。そして、新しい職場は人が少ないのでマスクをする雰囲気でもない。

そんなわけで、マスクを外す機会が増えた。電車や人込みではマスクをしている。

すると、マスクが守ってくれていたものの多さに気が付いた。

まず、メイク。マスクをつけるときは、UVの下地クリームや日焼け止めをつけて、軽くファンデーションをはたいて終わりにしていた。マスクにべったり、粉が付くのも嫌だった。マスクを外すとなると、そのような薄化粧では心許ない。スキンケアをして、化粧下地、リキッドファンデーション、
コンシーラ、最後にパウダーファンデーションで仕上げる。アイシャドウにチークとリップも必要。うーん、時間がかかる。この3年間、メイクに1分以上かけていなかったことに気付く。

次に、顔の産毛と鼻毛。もちろん、毎日、鏡を見て、抜いたり、切ったりしていたが、油断もしていた。マスクを外す時間が増えると失敗は許されない。今は朝晩、鏡で自分の顔をよく見るようになった。

そして、あくび、くしゃみ、咳といった生理現象。特にあくび。マスクをしているときは堂々とあくびをしていたが、今はさすがに憚られる。やはり、ハンカチが必要だと気が付く。

最後に口臭。こちらも歯磨きやフロスを念入りにやるようにしている。二日酔いの人なんて、マスクをしていても丸わかりなので、においを防げるとしても微々たるものなのだが、マスク一枚隔てるだけで、何となく安心感があった。マスクを外したら、さらにごまかせないので、ミント味のガムや飴などを常備しないといけない。

これからは基本的にはマスクをつけつつ、外す場面が増えるのだと思われる。マスクなしの生活への移行はまだ先だとは思うが、これからは二重あごも隠せないから、ダイエットをせねばならぬ。

マスクを外した自分の顔に慣れない、というのは本当におかしな現象だと思うし、この三年間はおかしな世界に暮らしていたのだと改めて思う。ただ、コロナがこれからも続くのであれば、マスクは顔の一部となっていくのだろう。

人類の生存を脅かすウィルスを前にしたとき、一人の人間はあまりに無力で、それを思い知った三年でもあった。

(まだ全然終わってないのだけれど、ひとまず書き留めておきたいと思った次第である)

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!