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映画『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』(2016)の感想

ヨハン・グリモンプレ監督の『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』を2021年2月中旬頃、映画館で観てきた。原題は『Shadow World』である。

オールスター感謝祭といった感じで、往年のニクソンやサッチャー、ブッシュ大統領、チェイニーやラムズフェルドといった悪代官が続々と登場してくる。

軍需産業の根深さと巨額の資金が動くマーケットであるため、武器商人のきな臭い話と政治家のどうしようもなさが、これでもかと描かれていく。

そして、現在の戦争は、どんどんゲーム化しており、いくら人を殺しても、罰されることのない部隊があることが示唆される。彼らに殺されてしまった無辜の市民の痛ましさといったらない。

未来の戦争は、ドローンやシューティングゲームで、安全な場所にいる人たちの匙加減ひとつで、生死が決まる。

その理不尽さと不条理を私はまだ知らない。

しかし、アフガニスタンやイラクの人々は嫌というほど知っている。

現実感の欠如がもたらす非人道的行為をもっと恐れたほうがいい。

そして、今私が生きているのは、単なる偶然に過ぎないのだと認識する必要がある。

だって、ドローンで殺された少年少女たちは、何も悪いことはしていない。ただ、運が悪かっただけなのだから。

その引き金を引いたお前に問う。お前に正当性はあるのか。仕事だったら、何をやってもいいのか。

人生を肯定することはなかなかできないのだけれど、生命に対しては常に全面的な肯定をしていきたい、と改めて思った。




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