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#映画感想文167『ブレット・トレイン』(2022)

映画『ブレット・トレイン(原題:Bullet Train)』を映画館で観てきた。

1回目は普通のスクリーンで、2回目はIMAXで観た。正直、IMAXでなくとも、十分楽しめるかな、という感じである。(IMAXでわかったのは、ブラッドピットのおでこにできたたんこぶ、傷、しわぐらいで、別にわからなくてもよかったかな、と思った。)

監督はデヴィッド・リーチ、主演はブラッド・ピット、原作は伊坂幸太郎の『マリアービートル』である。2022年製作、126分のアメリカ映画である。

いやはや、面白かった。東京駅から、京都までが遠すぎる。途中から新幹線ではなく、夜行列車になってしまう雑なところもよい。

荒唐無稽なエンターテイメントなのだけれど、アクションがコミカルで豪快で、とにかく楽しい。日本の描写も雑だったり、丁寧だったりするのだけれど、そもそもファンタジーの世界なので、そこはツッコむところではない。随所に出てくる『きかんしゃトーマス』ネタがよい。

レディバグ(ブラッド・ピット)がセラピー通いをしている、不運な殺し屋として登場するのだが、アンジーと離婚して子どもにもあまり会えなくなってしまったブラッド・ピット本人と重ね合わせて見てしまった。

GQの2017年のインタビュー記事は、今読むとなかなか味わい深い。

このインタビューでブラッド・ピットは「パートナーと出会って家族ができるということは、宝くじに当たったも同然だということにも気づかされたよ。」と語っている。重い。でも、ブラピですら、そう思うのだから、わたしに宝くじが当たらないのは仕方がない、という気がして、ちょっと気持ちが楽になった。

1回目は、心が折れてしまったブラッド・ピットがリハビリテーション的に頑張る映画として鑑賞した。終盤、サンドラブロックに慰められるシーンは、離婚で傷ついたブラピを励ましているようにも見えた。

2回目は、レモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)とタンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)という双子の殺し屋のコンビネーションが際立って感じられた。二人のスピンオフが観たい、というTwitterのつぶやきも、よく理解できた。何というか、二人のあいだに流れる空気が絶妙で、信頼関係がベースにあり、非常にポップで、魅了されてしまった。

タンジェリンとレモン

みかんのイラストが描かれたトラックも、映画の最初と最後に出てくるし、わさびのお菓子も二回出てきたりして、小道具はさりげないがしっかりしている。

今回のブラピはトイレに閉じこもったり、蛇に襲われたり、邪悪な女の子に利用されても疑わないポンコツで、ヤクザを騙すのに失敗したり、大慌てで新幹線の緊急ブレーキの説明書のページをめくったり、地味に配線をつなごうとしていたり、とにかく、かっこいいシーンがなく、コメディ部分をきちんと担当している。

ほかのハリウッドの大物であるトム・クルーズやジョニー・デップと比べると、ブラッド・ピットはユーモアがあり、フレンドリーで、神経質ではなさそうである。そういう意味では、ちょっと抜けた感じのレディバグを演じるには、うってつけだったのかもしれない。

ゆるキャラのモモもんが、一番日本的だったと思う。

モモもん

レディバグ(てんとう虫)は七つの悲しみを背負っているのだと聞き、思い出した。そういえば、わたしの好きな映画ベスト3のうちのひとつは『セブン』だった。自分ではあまり意識していなかったが、ブラッド・ピットが好きなのかもしれない。

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