音楽が好きというだけの話

 音楽が好きだ。聴くことはもちろん、自分で演奏することも好きだ。一応マンドリンが弾けるし、カラオケも大好き。最近は少しだけキーボードを練習しているし、作曲の真似事もしている。
 というと、大体好きなジャンルとかアーティストを聞かれるんだけど、ちょっと困ってしまう。好きなアーティストは多すぎるし、あまりジャンルにこだわらない、広く浅くを地で行く聴き方をしている。そして、そのスタンスをこのままずっと続けていくだろうと思う。

 私の家族もまた音楽好きだ。母は、浜田省吾やスターダスト・レビューを吹き込んだ大量のカセットテープ(!)を持っていたし、その姉である伯母はヒットした邦楽のコンピレーションアルバムを私に貸してくれた。私を保育園に迎えに来てくれていた祖母は、帰り道に童謡を歌っていた。
 ABBAの"Thank You For The Music"には、"She says I began to sing long before I could talk"(ママが言うには、わたしは話す前から歌い始めたんだって)という一節がある。  さすがにそこまでじゃないけど、私も幼少期から音楽が好きだったらしい。私がそれこそ話し始めるより前、『春よ、来い』というドラマが放映されていた。その主題歌は松任谷由実の同名の曲だった。毎朝曲が流れ始めると、幼い私は体を揺すりだし、終るとピタッとやめてしまったという。

 小学生まではヒットチャートのJ-POPを覚えて歌っていた。その一方で親世代の音楽もある程度知っていた。NHKの『クインテット』を見て、クラシックに興味を持った。このあたりでもう、私の広く浅く路線は確定していたと言っていい。

 中学生でヴィジュアル系にハマった。孤独を抱えたり、恋をしたり、壁にぶち当たったり、そんな私の学生生活に彼らは寄り添ってくれた。
 その一方、英語の授業で先生がかけた洋楽の数々に感銘を受けた。時に和訳したりもした。初めて自力で訳したのは、Elton Johnの"Your Song"だった。そこから英語に興味を持って、高校ではESS(英会話)部に入り、大学は外国語系に進んだ。

 大学で出来た友人に誘われて、マンドリンオーケストラサークルの見学に行った。その繊細な音色に心を奪われ、マンドリンを始めた。5つある構成楽器の中でマンドリンを選んだのは、一番小さいので持ち運びがしやすそう、というのと、音が一番高くて可愛いという理由だ。
 マンドリン曲も、クラシックも、ポップスも、たくさんの曲を弾いた。昔『クインテット』で聴いた曲もあった。オッフェンバック『天国と地獄』、ビゼー『アルルの女』の『ファランドール』、チャイコフスキー『くるみ割り人形』の『行進曲』、マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の『間奏曲』……。4年間で演奏したどの曲も好きだけど、一番といわれれば、丸本大悟『願いの叶う本』。
 楽器演奏は初心者だったけれど、四年間やって、メロディをすぐ弾ける程度には楽譜が読めるようになった。好きな曲を自分で演奏できるという喜びを知って、音楽人生がぱっと花開いた。

 社会人生活は思ったよりも大変だった。ヒトカラでストレス発散をした。年齢層の幅広い職場の飲み会で、岩崎良美の『タッチ』を歌ってウケた。一緒にいた先輩が、「中津さん歌上手いんだよ〜」と同僚に話しまくって、ちょっと照れくさかった。
 マンドリンは続けていたけど、コロナ禍で合奏ができなくなった。今はひとり河原で練習している。たまに道行く人に話しかけられ、「何か弾いて!」と言われたりする。  
 ところで、私は小さい頃からピアノを習いたかったが、家庭環境で不可能だった。もし自分に子供ができたらピアノを習わせたいとずっと思っているけれど、結婚すらしそうにないので、自分で練習することにした。まあピアノは買えないので、キーボードだけど。それに加えブルースハープも楽しそうだなと思っているけれど、手一杯になりそうで保留中。

 聴く話に戻ると、最近はサブスクを利用していることが多い。最新の曲と、生まれるはるか前の名曲、日本の曲と海外の曲、というようにバラバラな楽曲群をまぜこぜに聴ける点が、私に合っていると感じる。最近はミュージックプレイヤーを持っている人もあまりいないみたいだけど、私はWALKMAN(Android搭載でサブスクが使える)を持ち歩いている。転職して電車通勤から自転車に変わり、通勤時に聴くことはなくなったけど、その分、自宅でよく聴いている。今もなお新しい曲やアーティストとの出会いがあるのは嬉しい。ちなみに、最近知った曲で気に入っているのは藤原さくら『まばたき』と眉村ちあき『秘密の恋』。

 私がこれから先何年生きるかわからないけど、音楽と関わることはやめないだろう。音楽に未来を導かれたり、膝が折れた時に支えられたり、そんな経験がこれからもあるに違いない。
 逆に、私が音楽に対してできることはなんだろうか? 私は音楽に特別詳しいわけでもなく、ちゃんとした曲を作れるわけでもない。別に歌もマンドリンも上手ではない。だけど、自分なりのやり方で、自分の好きな音楽を後世に残していくことが、音楽に対する恩返しだと思っている。
 だから、しがない会社員として忙しい中ではあるけど、演奏し続けていたい。それと、純粋な「聴く人」としても、好きな曲に対する感想を述べていきたい。とても細い糸だけれど、音楽を未来に繋げていけたらいいなと思っている。

 ……ので、noteに曲の感想とか書こうと思ってるけど、全然進まない。あんまり立派なことを書こうと思わず、書き散らしたものでも何でも上げたほうがいいな、と思ったりしている私だった。ちゃんちゃん♪  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?