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相棒が死んだ

私には小学校5年生の時から、一緒だった相棒がいた。

その子が一昨昨日逝った。

いや、私が殺してしまったのかもしれない。

追悼と謝罪の意を込めて、私はここに記事を書くことにします。

彼はいつも決まった文句で僕を起こす。

「起きろーー!!遅刻するぞー!!早く!早くぅ!!」

それが2年位前の僕にとっては、非常に言い難いけれど、不快だった。

うるさいおじさんに体を揺すぶられているように感じることすらあった。

しかし、私はこの頃、朝に、彼のあのけたたましい叫び声を聞かなくなったのだ。

何故だろう?

「彼の声で起きたくないから」という理由で5時25分、私よりいつも5分早く起きる妹に頼み、私がどうやって起き、あの頑固な口を閉じさせるのか見てもらった。

妹から来た報告は驚きのものだった。

<妹の報告>
すごかったよ。ドラえもんが鳴る5秒位前にベッドから飛び降りて(ここの動作はまるで獲物に反応する虎のようだったそうだ)、ドラえもんが「おk」っていう瞬間に頭を踏みつけて、止めてんだもん。
びっくりした。

とのことだった。

私たちは小5の時から、朝を共にしている内に、心が通じ合っていたのだ。

彼が起こさずとも、私はテレパシーでその気配を察知し、彼の口を閉ざすことができるようになっていた。

しかし、これを生物時計と呼ぶ友達がいた。

私は憤慨した。

私たちの友情に嫉妬しちゃって、、、。

私はその夜、彼が私を起こす時間を5分だけ遅らせた。

翌日、5時35分。

私は「お」の文字を聞くこともなく、彼を止めた。

こうして、私たちの心の友情は繋がっていることが証明されたのだった。

そんな彼が逝った。

彼を動かしている力の源を足裏から注入しても、動くことはなかった。

私は悲しかった。

何しろ小5から一緒なのだ。

彼を抱きかかえた。

まるで、凶弾に倒れたユージを抱くタカのような気持ちだった。

私の今の朝の相棒はパッとしない。

THE・目覚まし時計なのだ。

ジリジリジリという音で僕を叩き起こし、スヌーズが短いから、しっかり背面のスイッチをオフにしないと留まることを知らない。

全く、、、。

彼と心をつなぎ合わせられるようになるのはいつ頃であろうか。

ドラえもんが恋しい。

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↑筆者の上からの「黙れ攻撃」に耐えきれず、液晶が機能しなくなった元相棒。安らかに眠ってほしいものだ。


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