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ノスタルジー・Moe@小樽

お盆休みは避暑地に行きたかった。
関東は暑くて、昼間に外に出るのは、もはや無理ゲーだ。

すいません、地球さん、エアコンは環境に悪いし、「持続可能な社会に仇をなす者」というのは、よく分かっていますが、暑いものは暑いんです!設定25℃、風量パワフル!その部屋で、布団かぶってアイスを食う!これが夏の新時代じゃ!

まあ、それでもせっかくの夏休み。布団被りっぱなしは勿体無いので、お盆に働いている会社の社畜どもに恨めしの目で見られながら、堂々10連休にした。
向かった先は、北海道小樽市。
たいして下調べもせず、「涼しそう🎐」という理由で、ジェットスターとゲストハウスを予約した。

少し調べると、小樽市には何やら歴史的な運河があるらしい。ミーハー好きな私は、さっそく歴史の遺功を味わうために足を運んでみた!


小樽市には夜到着。
事前情報では、インスタに夜の綺麗なライトアップされた写真が載っていた。
さっそく私も実物の運河を拝みに行った。

「綺麗だな〜。」

つい、そう呟いてしまった。


いや〜、こういうのを言葉にできない感慨ていうのか?逆に、言語化せずに、自分の内に留めておきたい類の感情だ。
何というか、あまりシェアせずにしておきたい。そういう感じなのだ。

このブログを奇跡的に拝読頂いた方は、何も考えずに、ただ運河へ流されるが良い!
多分、この気持ちがわかると思う!

近くの小樽博物館いわく、明治から昭和初期、小樽運河は漁港として賑わい、当時は道内一の港町として栄えていたらしい。博物館には、使い込まれた漁師グッズが錆を放ちながらアーカイブとして展示されていた。どの道具もゴツく、昔のモノクロ写真には、屈強な黒光りした半裸の漁師達が、こちらに聞こえそうな叫び声を上げながらニシンを獲っていた。
海の男って、猛々しくて、ワイルドで、カッケェよな。


商機を見出した近江商人もやってきた。
加賀から、坂出から、ビジネスチャンスを掴みに、この寒さで厳しい土地にやってきた。漁業、海運業、倉庫業、貿易業、商業と展開し、映画館とかもあったらしい。
こういう経済的波及効果て、一度火がつくと凄い勢いで燃え盛るよな。勢いとノリって、いつの時代もすごい!

金融屋もこぞってやってきた。
「北のウォール街」と称されぐらい、財閥はもちろん、個人商店系の金貸しも集まった。その面影は、小樽運河近くに、煉瓦造りの建物がいくつも残っている。
また、炭鉱開発も盛んだったため、運搬手段としての鉄道開発も盛んで、インフラも整ってきた。人・モノ・金の全てが整ったわけだ。

しかし、盛者必衰は世の常。
戊辰戦争最終局面である、函館での戦争を新政府が勝利した後、屯田兵を中心に札幌の広大な平地を開発した。
平安京を真似た碁盤目状の都市開発は行政管理が易く、行政機関を集約し始めた。徐々に開発が進むにあたり、商売の潮目が変わってきた。小樽商人たちは、その動向をきちんと捉えていた。そして、そちらへ鞍替えした。
商人のフットワークの軽さには畏敬の念を覚える。過去の成功体験をあっさり捨て、すぐに行動するところは、さすがの商人魂。
その頃から、経済の中心地は札幌となり、小樽は経済的に衰退していった。

だけど、生活が根付いた住民は、そう簡単に住居を変えられない。家も買って、親戚付き合いも構築され、子どもはまだ小さく、学校にも馴染んできた人々の生活は、すぐには変えられない。
ピーク時には20万人程いたが、現在は10万人程。経済の繁栄と人口増減の密接さが良くわかる。
歴史を守る云々やり、明日のご飯を確保することが大事だ。自分もそういう選択をするだろう。

小樽市はそこまで街の規模は大きくない。歩いて史跡などを観光できる。
わざと住宅街に入ると、玄関にモップやシャベル、そり等の雪国対策グッズが置いてある。窓や玄関はほとんど二重扉。
暑くて忘れていたが、ここは極寒の地。冬の積雪した景色が本来の姿なのだろう。

全体的な街の景観として、小樽運河がそのままの姿で残っているように、あまり手をつけていない印象だ。
大型ショッピングモールもなかったし、どちらかというとこじんまりして、地元市民のハンドメイド感が溢れていた。廃墟みたいな空き家もあったが、あえて取り壊さずに残して、それも景観として自然に溶け込んでいて、違和感がないのだ。

こういうの、なんて言うんだろ。
ノスタルジー萌?

廃墟に萌える人って、こういう感じなのだろうか?
「わあ〜、廃れてる〜、昔色々あったんだろうな、萌〜」

初めての感情だ。

そして、この街はノスタルジー溢れつつも、ちゃんと街全体がその雰囲気を維持できるよう、市の観光戦略として打ち出している。街の雰囲気をきちんと言語化して、コンセプトにすることは大事なんだな〜。それらを通じて新たな再発見も生まれる。街の活力には、ブランドを定義することは大事なんだと、散策して改めて気付いた。


哀愁というより、歴史を大切にしようという、地元住民のこの街へ思い入れが、ノスタルジーとして体現された感じだと思う。不思議で個性的で魅力ある街だ。さすが、観光客年間700万人!

次は寒くてきついだろうが、冬の雪化粧を楽しみながら、小樽運河を観光したい。
寒くなったら、近くの喫茶店で暖かいコーヒーを飲みながら。

また行くぜ、小樽!

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