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「相乗」と「表彰」と「陰徳」と「相良」

始業式のお話をまとめました。体育館の壇上は入学式の準備ができているのでスクリーンを設置することができません。A3の紙に大きく「相乗」「表彰」「陰徳」「相良」と印刷しました。4枚の紙を壇上の4ヶ所に固定し、逸脱していく話題に応じて場所を移動してお話ししました。
「相良」って何?と思わせれば良しとしましょう。

皆さんこんにちは。
今日使う言葉は4つ「相乗」と「表彰」と「陰徳」と「相良」です。
 
まず、「相乗」です。
前回のお話しは「シナジー」でした。
人間関係における相乗効果です。
皆さんは2年次を迎えリアルで個別の体験を積み重ね、実践していきます。
そして、あなたの実践は何らかの形で世のため人のためになっていくのでした。
乗というのは掛け算のことですから、3人よれば1+1+1ではなく3×3になるということです。
今日はそれにも関わる皆さんの行動について考えてみます。
 
次に「表彰」についてお話しします。
皆さん、表彰という言葉を知っていますね。
どういう意味でしょう。
表は表す。彰は彰かにする。
合わせて見えなかった物を見えるようにすることです。
 
すると、疑問が出てきませんか?
あれ?表彰って褒めることではないの? 違うみたいですね。
なぜ見えるようにするのでしょうか? これは考えてみましょう。
 
そもそも、善い行いと言うのは「みんなの役に立つことや誰かが困らないようにすることを、称賛や褒美などの見返りを期待することなく、一人で黙ってそっとやっておくこと」だと思うのです。
簡単に言うとそっとやるのが良い行い。
黙ってそっとゴミを拾う。
黙ってそっと人のミスをカバーする。
実は、立派な大人は多かれ少なかれこのような善い行いをしているのです。
そして、お互いが少しずつ住みやすい街を作っているのです。
 
みんな黙って良いことをしていると、何が善いか、何が悪いかということはどうしてわかるようになるのでしょう。
黙ってそっとゴミを片づける人もいるけど、黙ってそっと捨てていく人もいます。
どっちが善いことをしていてどっちが悪いことをしているかわかりますよね。
なぜわかるんでしょう。
 
善いことは、これから大人になる人々が、実際の社会に身を置くことでだんだんと身に付けていくものです。親から教えられたり、本を読んだり、学校や地域での生活とともに身に付けていきます。
「表彰」は善い行いを取り上げて「こういうことは善いことだ」と大人がみなさんに表すことなのです。
そうすれば、こういうことは善いことだとわかります。
基準ができるのですね。
私たちはこうしてたくさんの善いこと悪いことの例を知ることで、
あとで、人知れず善いことができるようになります。
それが「表彰」なのですね。
 
これで話が終わると、小学校なので、もう少し深めていきます。
さっき、皆さんの実践が世のため人のためになるといいました。
それはもう表彰されています。そっとではありません。
どういうことか表れに注目して良い行いを分析します。
一番表れている善い行い。皆さんの実践は広い意味での仕事です。これが、世のため人のためになっている。
そして、そっとごみを片付けるような善いことはそっと行われる。
そして、「陰徳」です。ぜひこの言葉を知っていただきたいと思って用意しました。
陰徳は誰にも知られない善い行いです。知られたら陰徳ではなくなってしまいますから、ある意味、表彰されてはいけないのです。
 
そこで、「相良」です。これは実は人の名前なんです。
陰徳と表彰の関係を良く表しているエピソードなので紹介します。
 
西遊記の11巻に相良という人物が出てきます。
唐の皇帝太宗が手違いであの世に行ったとき、この世に戻るためのお金をあの世で貸してくれた人です。
この人は日ごろ信心深くたくさんの寄付をしていました。それが積もり積もってあの世の大金持ちになっていたということなのです。
そこで無事この世に戻った太宗が莫大な金銀を相良に返しました。表彰されたのですね。
でも、相良は身に覚えがないと断り、太宗皇帝は仕方なくそのお金で長安の大相国寺を立てたという話になります。
 
陰徳と表彰の関係を良く表しているエピソードです。
陰徳は見返りどころか人目を避けている節があって、仏教思想というより老荘思想的かもしれません。
陰徳、興味あると思います。共感できる人も多いかもしれない。
 
まとめます。
陰徳を積んでいる人やそっと善いことをしている人と一緒に仕事するととても気持ちいいです。
これは一人一人の心がけです。
学校では、一番表れている善い行いの実践、広い意味の仕事での世のため人のため、をやっていきたいと思います。
 
本校では、他者と協働するための資質、協働資質を身に付けて良き社会の一員として自立することを目標としています。
どうやって協働資質を身に付けるか。
 
「ホームルーム活動やゼミ活動で。
チームとしてタスクを完成させる。
外部の人・外部の大人と一緒に何かやってみる。
褒められる指摘される」
 
こういう実践の中で培われるものです。
 
すると、みなさんはこの1年間で少しずつ実践してきました。
2年次でクラス替えをするのは、1年次のクラスで培った協働資質を2年次のクラスでシナジーを発揮するためです。
新しい1年が始まりました。
今年度も必ずいいことがあると思います。

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