見出し画像

okubyokaze

こうなったらいいな。
こう出来たら面白いな。

と言う理想や妄想をよく抱くけれど、いざ目の前にぽーんとそのチャンスがやってきたら、大抵目を逸らして怖気付いてしまう。「手を伸ばさなかった」と自分を正当化しながら、ただただ「手を伸ばせなかった」だけなのだ。口ばかり達者になって、若い子たちにあーだこーだと話している当の本人は、いろんなものを取りこぼしてきたただの強がりな臆病者に過ぎない。

今の生活を取り巻く環境だってもちろん、周りに恵まれ助けられながら自分でしっかりと掴み取ってきた賜物だと断言する。けれど。「あの時、あの手を取っていたらどんな人生だったんだろう」と、後悔と言うには薄っぺらい思考が、常に頭の奥に潜んでいる。自分の好きになれない部分。

そもそも何にそんなに怯えてしまうのか。失敗するのが怖いのか。否定されるのが怖いのか。こうして書けば書くほど、自分がただの凡人であることが明確になっていく。いやあ、まあ、凡人でいいんだけど。いいんだけどさ。やっぱり人前に立つ仕事は自分自身に心が擦り減って仕方がない。

それでもこうして続けていられるのは、人前に立つこの仕事でないと味わえない感動や愛情がたくさんあることをもう知ってしまったから。なんだろうな。やっぱり。それは臆病風に吹かれながらも吹き飛ばされないように、地に足つけて踏ん張っている自分がいなきゃ、きっと見つけられなかったやつ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?