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映画感想013『ボーはおそれている』何に恐れているのか、、分かった所で問題はそこじゃない! ※ネタばれあり

ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』のアリアスター監督の最新作
しかも、『ジョーカー』で評価爆上がり中のフォアキンフェニックス主演
そんな話題の新作。。。

けっこう前に見たけど、ずっとモヤモヤしていたのでやっと書きました。
3時間の長尺。。モヤモヤを解消したくて2回も見てしまった。。。

私は以前から、「映画は長ければ長いほど面白い」説を提唱してきた。

私が大好きな主な長尺映画
◆アンダーグラウンド/クストリッツァ監督 171分
◆神々のたそがれ/アレクセイゲルマン監督 177分
◆ワンスアポンアタイムインアメリカ完全版/セルジオレオーネ監督 229分
◆クーリンチェ少年殺人事件/エドワードヤン監督 236分
◆サタンタンゴ/タルベーラ監督 438分
◆死霊魂/ワンビン監督 495分

ね!文字見ただけで面白いでしょ!?
長ければ長いだけ世界没入感が半端ないんですよ。
アドレナリンの量がもう凄い!もう最後の一時間ぐらいは
もっと!もっと欲しい!もっと見せてぇ~~!
なんて映画館で叫んじゃうぐらいですからね。。
ヨダレもだらだらですよ。

寝不足の中挑んだ、新文芸坐での「ゴッドファーザー3作オールナイト上映」を見終わった後も相当すごかったけど
サタンタンゴとか死霊魂とかを一日かけて見た時は
もうマラソン完走と同じくらい体中を何かがドクドクしてましたよ。

まあ、そんなわけで長い映画は大好きなんですが
『ボーはおそれている』
179分。。。
二回見たから358分か。。。

長かったぁ~~~~~。
これは、なんなんだろうか。。。
特にボーが全裸で街に飛び出し、車にはねられ、ナイフで刺されて
ブラックアウトしてからの後半。。。
ここからがなかなか時計の針が進まない!

前半は本当に面白いのよ。
ボーが怖いなぁ怖いなぁと思うことがどんどん起こっていく
たたみかける様な展開は本当に最高。

ウソだろ!?って叫びたくなるぐらいに危険がいっぱいな
ボーが住むマンションの街並み。
全身タトゥーで眼球まで真っ黒のおじさんが
叫んでたり
上裸のマッチョが踊ってたり
死体が転がってたり
もう、最高な仕上がり。。

あんた最高だよ

水無しで薬を飲んでしまってパニックに
なったボーが外に出るくだりなんて
ただ家の目の前のコンビニに行くだけなのに
ドラクエのラストボスの城に
入って行くぐらいの冒険に見えた!

カードが使えない、、からの
街の輩がゾンビの様にボーの部屋に
入って行き
めちゃくちゃな様子を窓からのぞき
次の日の朝部屋に戻ると
タトゥーおじさんは死んでるし
謎の液体がミキサー回ってるし
パソコン画面に靴めりこんでるしで
もう100億点なんだ!
そんでもってお母さん死んでるよ電話からの
お風呂のシーン
訳わかんないけど天井に
汗びっしょりのおじさんが貼り付いてる‼️
もう5,000億点を叩き出してるんだよ!
そんでチンチンぶらぶらさせながら
街に飛び出し
警官に銃を向けられ
逃げたら車に跳ねられて
もう最高!
これでエンドクレジットでOK!
タイトル
ボーはおそれている!
ありがとう!!!

ところが、そうはならない。。。
ここからがグダグダなんだ。

色々言いたいことはあるが
ポイントをあげると

🔸ドゥニメノーシェの無駄遣い
「ジュリアン」でカッとなると暴力してしまう
哀しい男を熱演したドゥニメノーシェ。。
イングロリアスバスターズとかブランチディスパッチとかのちょい役でもいい存在感を出し
苦い涙や理想郷などの主役も張れる‼️
もう本当に良いんですよ。
そんなドュニメノーシェをボーの背景で
ずっと精神異常な行動をとらせるだけという
これは、もう無駄遣いもいいとこですよ。
精神異常者が大声出して走り回るのなんて
個人的には一番やりやすい役なんじゃないかと
思っているんで
ドュニメノーシェの演技力は一向に
発揮されないんですよ。
太った髭のおじさんという圧倒的なルックは
確かに発揮されているけど
アメリカなら太った髭のおじさんなんて
五万といるんですよ!!!
ここにフランス語も英語も完璧なバイリンガルで
野蛮な男もインテリも演じ分けられる
数々の賞を受賞した俳優に
やらせる役じゃない。。。

最高!
もう最高!


🔸「オオカミの家」のクリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャ監督を劇中劇に採用

もう最高の悪夢!これこそが悪夢だよ!

アリアスターがオオカミの家を見て感動して
新作のボーの劇中劇の演出に2人のストップモーションアニメを採用したということだが
正直、あのシーン。。
めちゃくちゃつまらなかった。。

なんの意外性もない話に無駄に長く
ストップモーションアニメも
2人にお願いしなくてもできそうなレベル
と思ってしまった。。

でも冷静に考えてみたら理解できる

チリでコツコツと芸術活動をしている2人が
渾身の作品として出したのが
「オオカミの家」だ。
そんな中、アメリカで予算規模も大きい作品を
やっている監督が
「君たち素晴らしいね、今度俺の作品に
ちょっと君たちのやつ作ってよ!」
みたいな感じでストーリーとか構成を
伝えてきて、いつまでに宜しく!

なんて言われて、オオカミの家を超える様な
作品を作る訳がない!!!

人の作品の、しかもメインじゃなくて
劇中劇の超ごく一部。。
たしかに、メジャー作品に携われる。
イケイケの監督とコラボできる。
2人ななとって利点はあっただろう。
でもでも、、
どんなにリスペクトがある態度で
やり取りされていたかは分からんが
どうしても、「使ってあげる」
というマインドはあったと思う
「自分の作品に取り込んで利用する」
というマインドは隠せないと思う

更にいえば、そもそも劇中劇の話自体が
あんまり面白くないし、2人の作風が
発揮されるような内容でもなかった。

そんな訳で劇中劇のストップモーションアニメは
本当に面白くなかった!!!

🔸これはコメディ作品らしい
よく悲劇をコメディとして撮った!という
監督が引き合いに出す話で

チャップリンのクローズアップすると悲劇も
ロングショットで見ると喜劇

みたいな話がある
聞いてる方はなるほど!
これはコメディなんですね!
たしかに、、ここまで悲惨だと
笑うしかないっすね!!!あはは。。

でもちょっと待て
コメディかも知れないけど
全然笑えないよ。。。
てか、普通に面白くない。。

そう、めちゃくちゃ滑ってるんです!
前半は最高でした。
本当に面白い!
でも後半は笑いなし!

その最たる例が
お父さんチンコだ!!!!

悪夢じゃなくて現実よ!
と言われて上がった屋根裏には
お父さんが!
しかし、それはチンコの化け物だった!

ただ子供を産むために利用された父
男性性としての象徴である男根
探し求めていた父はしょうもなかった

色々とメタファーであることは分かるけど
だからなんなの⁉️感がすごい。
そもそも、チンコ化け物がちゃちぃんだなこれ
ギャグとしても弱いし
ホラーとしてはショボい
そして、びっくり仰天感は普通。。
子供だましみたいな事をして
これはコメディです‼️
と胸を張られましても、、、
と困ってしまう。

🔸これはユダヤ人版指輪物語です!

町山智浩さんの解説

これを見れば作品の背景は大体わかる!
他にも雑多なYouTuberが
偉そうに考察動画をあげているが

個々の演出を理解したからといって
個々の背景を説明できたからといって
これはユダヤ文学なんです!と監督が
言ったとしても

映画は面白くないと意味がないと思う

なるほどー!と理解できても
そもそも映画が面白くなかったら意味がない

映画が面白い!
その演出の背景がわかったら更に面白い!

そもそも背景にしているユダヤ文化が
面白いのではなく
それを土台にして考えた演出が
面白いから映画は面白いはず

ユダヤ人にしか分からない背景を
土台にして難解な演出にして
実はこれユダヤ文学なんですよぉ〜
とかドヤ顔されても、はぁ⁉️となる訳です

ユダヤの文化を知らない人が見ても
面白い映画で
なんでこんな面白いことが思いつくの?
と気になって調べたら
実はこれユダヤ文化を下地に演出してる
と理解して
なるほど面白い!
そう理解してもう一度見たら更に面白い!

そうでなければいけないと思うのだが
ただ理解不能にさせるために
これ、ユダヤ文学の構成なんで
わからないかなぁ〜
なんて言われてもムカつくだけなんですよ

アメリカの映画界にはもともと
ユダヤ人が多いから
なんかメインの文化みたいに
勘違いしてるんでしょうか?

もう良い加減キリスト教とかユダヤ教とかが
メインです!
みたいな前提で映画作るの
ほんとやめてほしいなぁ
キリスト教を土台にした文化を基に
映画を作るのはいいけど
宗教が前提にした教えを押し付ける話は
本当にうんざりする。。


もうね、
面白い映画を参考にしたからといって
その映画が面白いという保証は
いっこもないですからね!!!
と、アリアスター監督には言いたい


そして、最後にもう一つ

ボーは全て母親の監視下のもと
暮らしていたのです、、
という後半の説明のせいで
前半のあんなに面白い街の人々も
全員社員でした〜というオチは
面白かった唯一の部分でさえ
つまらないものにしていると思いました。

とにかくボーの前半は
最高です!
車に跳ねられで目が覚めたら
首のないお母さんがいて
みたいな感じで途中をスパッと切ってくれてら
いい映画だったかもしれない!


ちなみにちなみに
何回も出てくる幼少ボーが
お風呂を嫌がるシーン
後半でお風呂に入ってる自分が
嫌がる自分を見ているというカットの冒頭
お風呂に入れている女性が
13歳のエレーヌに見える。。
そして、嫌がるボーに女性が駆け寄ると
お母さん役の女性に入れ替わる
ように見えたのです。
これ、どういう意図があるのだろう?
これに言及している方いらっしゃったら
教えて下さい!

おわり

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